決断は早いほうがいい
しかしながら同コーチは「だからこそ、この前のセンバツと同じようなグズグズした流れから〝非情の通告〟だけはしてほしくない」と訴える。
「センバツは無観客でやる方向性を一旦固めておきながら、8日前というギリギリの段階で中止が決まった。正直、子どもたちの精神的なダメージは大きかったですよ。開催するんじゃないかと思わせておきながら、やっぱり中止ですと言われたのはハシゴを外され、奈落に落ちたような気分でした。そりゃあ、中止と言われれば誰だってショックですが…。
でもそれを早めに決めて通達されるのと、開催を目指す方向で進みながらも不透明なままでほぼ直前に〝やっぱりやめます〟と現実を突きつけられるのでは天と地ほどの差があります。一旦は望みがあるようなことを言われれば、それを信じて子どもたちは練習をしなければいけない。実はウチが預かっている子どもたちの中にも、センバツの開催がギリギリまで引っ張られ、結局中止となったことで『大人は信用できない』とトラウマになった部員もいます。それぐらい、開催の有無を決めるタイミングはナーバスなことなのです。やるかやらないかの判断をずっと引き延ばせばいいということではありません」
センバツもそうだが、特に夏の甲子園は世間の注目度も高く、各方面から様々な〝利権〟が絡んでくる。そう考えると、何だか東京五輪の開催延期がグズグズになったケースと非常に酷似しているようだ。高野連の臨時運営委員会が行われる5月20日ですら「開催有無の決断は遅過ぎる」との声も飛び交っているが、これまでの経緯と照らし合わせるとセンバツに続いて判断が先延ばしにされることは十分あり得そうな気もする。
1つ言えるのは〝オトナの事情〟で決断を遅らせれば高校野球のイメージ低下を招き、ひいては逆に球児たちの心にも大きなダメージを残してしまう危険性があるということだ。高野連は肝に銘じて早急に議論を進めてほしい。
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