Wedge REPORT

2020年4月6日

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 いつ「完全」に戻れるのか。新型コロナウイルスの感染拡大で、日本の2大プロスポーツリーグが悲痛な叫びを上げている。プロ野球とサッカー・Jリーグである。3日に行われたNPB(日本野球機構)とJリーグ合同の「新型コロナウイルス対策連絡会議」で専門家チームから4月中の公式戦開催が困難との提言を受け、両リーグは当初描いていた開幕日を撤回せざるを得なくなった。

(Yoshio Tsunoda/AFLO)

 プロ野球のセ・パ12球団は4月24日の開幕を目指すとし、Jリーグも4月25日にJ3が開幕、5月2日にJ2、同9日にJ1がそれぞれ中断中だったリーグを再スタートさせる予定だったが、いずれも白紙。NPBの開幕、Jリーグの試合開催は早くても5月下旬となる見通しとなった。

 しかし、現実はかなり厳しい。実際のところは開幕及びリーグ再開に関して「6月、7月ですら難しい」という悲観論が圧倒的で、中には「どう考えても今季の試合開催は無理」と言い切る声も目立つ。それを裏付けるようにしてプロ野球の12球団は大半が活動休止となり、残りのチームも全体練習を取りやめて自主練習のみに切り替えるなど各現場は通常のシーズンオフよりも身動きができない制限を強いられている。Jリーグも同様だ。

 この状況からもう一度、一斉に〝ヨーイ、ドン〟で各チームがリーグの公式戦に向かって同じ条件にするため諸々の調整を再び始めていくとなると、それなりの準備の時間を要することも念頭におかなければいけない。

 プロ野球の選手たちはキャンプで自らの体を仕上げ、オープン戦において徐々に実戦感覚を養っていたが、その多くがチームの活動休止や全体練習の中止によって〝リセット〟させられるハメになった。J1、J2のJリーガーたちも開幕の第1節を2月末に1試合戦っただけで1カ月以上も中断させられ、現在に至っている。

 〝さあ、これから〟というタイミングでストップをかけられた辛苦は、選手たちにとってみればプロ野球・セ在京球団のベテラン曰く「積み上げてきたものが一気に崩されるから、計り知れない絶望的なストレスにつながる」ということらしい。

 選手たちの不安や焦りは想像以上に深刻だ。プロ野球もJリーグも本来ならシーズン中であるはずなのに現時点で新たな試合日程すら決められないということ自体が事の異常さを物語る。まともな練習すらできない中、どこにコンディションのピークを持っていけばいいのかが分からず途方に暮れている選手もかなり多い。

 トップクラスの主力選手はそれなりに環境や待遇も比較的に保証されているから、多少は心にゆとりがあるだろう。だが全体から見れば、そういうポジションにいる選手はほんの一握りだ。

 つい先日、セ球団の二軍に甘んじる20代の若手選手からLINEのメッセージが入り、そこには「めちゃくちゃコロナが怖いです。でも、このまま感染しなかったとしても今オフ、自分はヤバいと思います。クビになりそうで本当に心配です」と書かれていた。そしてやり取りをしているうちに「他球団でも自分と同じような境遇に置かれた多くの選手たちが、共通の心配を抱え込んでいます。中にはノイローゼに近い状態になっているケースがある」ことも実態として分かった。

 試合が開催できず実収入が激減している球団やクラブは今オフ、まず間違いなくリストラを断行しなければいけなくなるだろう。実績のない所属選手たちは当然、大減俸や解雇の危機に直面することになる。

 実際、Jクラブの関係者は苦渋の表情とともにこう〝予告〟している。

「新型コロナウイルスの感染拡大はクラブが存続できるかどうかの問題にもかかわってくる。経営のことを考えれば、スリム化を図らなければならなくなるのは必然の流れだ。我々は慈善事業主ではない。まだ決算時期が終わったばかりとはいえ、すでに多くのクラブが前シーズン比で今シーズンの経常利益について大幅赤字を覚悟しているし、おそらく最終的にはどこもワーストを計上することになるだろう。

 残念ながら近年チームに貢献できておらず、今後の成長も見込めない選手に対しては次の契約更改の席上、今まで以上に厳しい判断を下さなければならなくなる。高年俸の選手も大幅なダウンを覚悟してほしい」

 もちろん、これはプロ野球界も同じだ。パ球団幹部の1人は早々と「まず所属選手はどんなに厚遇であっても今季年俸から数パーセントのダウンを強制。増額や現状維持はあり得ない。ベテランや高年俸の選手は相当な減額対象とし、育成選手などには契約更新そのものも見直すべき」と具体的な強硬論を口にしている。プロ野球選手会側は反発するだろうが、経営が芳しくなくなれば厳しい選択を取らざるを得なくなるのも致し方ない。

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