2024年4月16日(火)

From LA

2020年5月20日

多くの貧しい人が犠牲になるのでは?

 米NBSニュースでも同様に共和党内部でスウェーデン方式を称賛する声が上がっている、という特集をやっていたが、その中でスウェーデン人から「米国で我が国と同じことをやれば、国民皆保険がないのでより多くの貧しい人が犠牲になるのでは?」という疑問の声が上がっていた。まさに的を射た意見と言えるだろう。

 米国人がどれだけ政府の言うことを聞かず、自分勝手な行動を取っているかを示すのに、現在各州政府から上がっている「電話に応答しない」問題が挙げられる。コロナに陽性反応が出た人に対し、州の公衆衛生局などから濃厚接触者への調査などが入るが、およそ半数の人がこの問い合わせの電話やメールに返信しないのだという。患者の行動履歴や接触者が不明のままではクラスターが広がる恐れがあるが、なぜか半数近くが連絡を無視している。

 また、ロサンゼルス郡では現在「症状がなくても、年齢にかかわらず、すべての人が無料でPCR検査を受けられる」体制を敷いている。ウェブ上でアポイントを取り、ドライブスルーの検査場で実施されるのだが、アポイントが非常に取りにくい反面、実際に検査場に姿を現す人は3分の2止まりだという。

 アポを取りながら検査をすっぽかす人がそれだけいるのだ。無料にしたせいかもしれないが、こういう無責任な人間が増加すれば本当に検査を必要とする人がなかなかアポを取れない、という事態につながる。やはりこの国にスウェーデン方式は無理だ、と思わずにいられない。

  
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