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2020年4月19日

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17日ロサンゼルスのお隣オレンジ郡ハンティントンビーチでは自宅待機命令に対する抗議デモが行われた(AP/AFLO)

 ロサンゼルス郡では4月16日、新たに55名が死亡し、累計の死亡者数は455名となった。感染者数は1日で350名となり、累計で1万854名。これまで郡が行った検査数は7万件以上で、およそ11%が陽性だったことになる。カリフォルニア州全体では感染者は731名増加で計2万8888名、死亡者は1021名だ。

 ただし新規感染者数は横ばいあるいは減少の傾向が見られ、ニューサム知事とガルセッティ市長は外出禁止令の緩和と経済再開に向けての道筋を探り始めている。その中で重要とされているのが抗体検査の実施だ。

 抗体検査とは、指先の少量の血液を分析してその人がすでにコロナウィルスに感染し、抗体、つまり免疫を持っているかどうかを判断する、ということだ。艦長が解任されたことで話題となった空母「セオドア・ルーズベルト」では、4800名の乗組員のうち655人の感染が確認され、1名が死亡した。ところが陽性反応が出たうちの実に60%が無症状だった、という。

 世間にはこうした無症状で感染の自覚がないままに治癒し、免疫を得ている人々がいる。それを割り出すために始まった抗体検査だが、最初の試みで思わぬ結果が出た。ABCニュースの報道によると、カリフォルニア州サンタクララ郡で試験的に行われた抗体検査を受けた3300人のうち、抗体反応があったのが2.8~4.2%程度だった、というのだ。

 サンタクララ郡の人口は200万人ほどで、郡内の感染者は公式には1000人程度、と発表されていた。しかし抗体検査の結果から、実際には4万8000~8万1000人程度がすでに感染していた、という予測が成り立つ。PCR検査などで陽性が判明した人の50~80倍、という驚くべき数字だ。

 同様にロサンゼルス周辺でも週に1000人程度の抗体検査が始まっている。こちらはまだ結果が発表されていないが、恐らくはサンタクララと同様あるいはより高い数字になる可能性もある。

 一方で抗体検査にあまり期待をかけすぎない方が良い、という意見もある。インフルエンザのように、一度抗体を得ても次のシーズンには再び罹患することもある。今免疫を得たとしても、それが果たして何カ月継続するのかは疑問だ。また一度陰性になった人が再陽転するケースも世界中で報告されており、抗体検査にどれほどの信頼度があるのかも不明だ。

 また、抗体検査はネット上で参加者が募集されているため、ボランティアで検査に応じる人々の層に偏りがあるのではないか、という見方もある。ネットで情報を得る、つまり比較的若く活動的な層が多いため、高齢者や子供などと比べて感染率が高い可能性もある。単純に抗体検査の数を全体に反映して80倍、という数字を発表することはいたずらに不安を掻き立てるだけなのではないか、というものだ。

 米国や欧州の一部では、抗体検査を大掛かりに実施して抗体証明書のようなものを発行し、そうした人々から順次社会生活を復活させる、という案がある。実現すれば確かに現在の状況を多少は打破出来るのだが、上記のような理由で抗体検査が完全なものとはまだ言えない。抗体があるから、と普段の生活に戻った人が再び罹患する、そこから再度の感染拡大が起こる可能性は完全に否定できないためだ。

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