死者の尊厳を守れ
有名人だからといって、死者の尊厳を傷つけるような行為が許されるのか。世論の反発は激しく、ついにカリフォルニア州は5月20日、「ファースト・レスポンダーによる事故現場での個人的な写真撮影、またそうした写真を流布させることを禁じる」条例を提案した。違反者には最高で5000ドルの罰金及び1年以下の禁固刑、という厳しい内容だ。
正式な条例となるにはまだ少し時間がかかるが、同州の保安官事務所では「こうした条例が成立することで、現場の職員も死者とその家族に対する礼儀を重視することが可能になる」と、条例成立を後押しする姿勢だ。
保安官事務所では2月以降、実際に写真の撮影と流出があったのかについて調査を行っているが、現在も調査は続行中だという。当該の保安官の携帯にあった写真はすべて削除された、と発表されているが、なぜ当事者の特定までできているのに実際に何があったのか、罰則は適用されるのかなどの詳細が2カ月以上明らかにならないのは不思議でもある。
米国にはアンバー法、と呼ばれる法律がある。アンバーちゃんという少女が誘拐され、初動捜査が遅れたことを教訓に、未成年の誘拐が起こった際には全国に警報が流れる、というものだ。携帯を所持していれば非常信号が鳴り、すべての携帯に「アンバー・アラート」という誘拐事件の発生、容疑車両の特徴などの情報が流れる。
カリフォルニア州で今回の死者への冒涜を罰する条例が成立すれば、全国に波及し、「コービー法」として定着する可能性もある。コービーの悲劇的な死は、社会に一つの警鐘を鳴らしたとも言える。
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