2022年7月1日(金)

田部康喜のTV読本

2020年6月11日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

人間ドラマの展開とともにエクスプレス完成へ

 台湾で生まれ育ち、終戦とともに日本に引き揚げてきた、葉山勝一郎(高橋長英)にとって、台湾は故郷であり、帰るべき土地だった。旧制台北高校出身の葉山は、友人の日本名・中野赳夫(ヤン・リエ)に「二等国民」とさげすんだことをいまだに悔やんでいた。訪台して医師になった中野と出会い、すい臓がんとわかり、中野の勧めから「生まれ育った台湾で死ぬ」ことを決断する。

 日本チームの技術コーディネート担当の安西(井浦)は、恋人になったナイトクラブのホステスのユキ(シャオ・ユーウェイ)に対して、誤解した嫉妬から「おまえは台湾人のホステスに過ぎないんだよ」とののしったことを後悔している。謝罪して号泣する安西をユキは抱きしめる。

 台湾オリジナルの台湾人の誇りとなった、台湾エクスプレスは2007年1月に開業した。車両はJR東海と西日本が共同開発した700T型である。

 エリックが春香の婚約を知って一度は、別れを告げた。台湾エクスプレスの開業後に東京の本社に戻らずに、台湾で働くことを決めた春香は、婚約指輪を池上(大東)に返した。すい臓がんを患った葉山(高橋)に伴って、台北駅から乗車するときにエリックと再会する。

 改札口で抱き合うふたり。新幹線の座席にならんで座って、春香のこれからの台湾での仕事などを語り合いながら、ふたりの手は自然とつながれている。

 葉山(高橋)は、やはり台湾育ちだった亡き妻の写真を取り出して、車窓を見せるようにして話しかける。「おまえも新幹線に乗りたかっただろう」と。

 ドラマをみながら、久しぶりに幾度も涙がこぼれた。再放送が待たれる。

  
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