WEDGE REPORT

2020年6月29日

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「常軌を逸している」とバイデン氏

 問題はこのGRUの秘密作戦情報をトランプ大統領がきちんと把握していたのかどうかだ。ホワイトハウスは大統領が知らなかったと強調、ラトクリフ情報長官も27日深夜、大統領、ペンス副大統領ともこの情報について「説明を受けていなかった」ことを確認した、との声明を発表した。

 しかし、ニューヨーク・タイムズによると、政権の否定にもかかわらず、米当局者の1人は大統領が説明を受けていたと明らかにし、別の当局者は大統領に対する毎日の世界情勢報告に含まれていたと語った。大統領が説明を受けたかどうかは水掛け論の様相を呈しているが、大統領が毎朝行われる情勢報告を毛嫌いしていることが齟齬(そご)の原因になっているのは間違いない。

 これまでにメディアを通して漏れ伝えられるところによると、大統領は国家安全保障担当の補佐官によるこの説明を面倒くさがり、いきなりキャンセルすることも度々だった。このため最近では、毎日の説明が週2日か3日に変更されているという。大統領はちょっと長い文章や、メモは読まないし、関心がなければ補佐官らの説明に集中できない。今回もこうした大統領の性癖が招いた事態と言えそうだ。

 しかし、民主党の大統領候補であるバイデン前副大統領は「ロシアの国際法違反を咎めなかったばかりか、プーチンに服従し続けているのは常軌を逸している」などと大統領を厳しく非難した。下院外交委員会の共和党幹部も「もし事実なら、プーチン政権に責任を取らせる速やかで重大な行動を取らなければならない」と要求した。

 トランプ大統領は11月の大統領選挙に向けた目玉として「アフガンからの駐留軍完全撤退」を実現し、18年に及ぶ最長の戦争を終結させた成果を誇示したい考えだ。このためタリバンとの和平交渉を急ぎ、2月末に合意にこぎ着けた。合意では、米国は和平と引き換えに、135日以内に駐留米軍約1万3000人を8600人にまで削減すること、14カ月以内に完全撤退することが盛り込まれた。第一段階の「8600人にまで削減」はすでに達成された。

 大統領は選挙までにさらに4000人を撤退させて、駐留軍を開戦以来、最少規模にする考えと伝えられている。だが、米軍の撤退に合わせるかのようにタリバンの政府軍に対する攻撃は激化の一途をたどっている。米側によると、タリバンは攻撃を約8割減らすと非公式に約束していたが、実際には全く逆で、この3カ月で攻撃は昨年同期比40%も増え、死傷者も急増した。

 アナリストらは「米軍が撤退すれば、アフガン政府や政府軍のセクト主義と腐敗、士気の低さなどから、タリバンが全土を掌握するのは目に見えている。その過程で多くの国民が犠牲になるだろう」と指摘している。しかし、選挙を前に撤退の成果を誇示することしか頭にないトランプ大統領にこうした声が届くことはないだろう。

  
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