2024年11月23日(土)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年7月17日

大統領選挙への影響

 米ワシントン・ポスト紙によれば、メアリーさんは同性愛者です。同紙のインタビューで、彼女は16年米大統領選挙でヒラリー・クリントン元国務長官を支持し、20年大統領選挙ではジョー・バイデン前副大統領に投票すると語りました。ちなみに、民主党大統領候補指名争いでは、エリザベス・ウォーレン上院議員(東部マサチューセッツ州)を支持しました。

 さて、ホワイトハウスのケイリー・マクナニー報道官は、メアリー暴露本を「でっちあげだ」と一蹴しました。また、どうして今になって出版するのか、と疑問を呈する声もあります。

 これに対して、メアリーさんは著書で「金儲けや父の復讐のためにこの本を書きませんでした。もしそうならば、何年も前に書いていたでしょう」と記しています。そのうえで、「トランプ一族は、忠誠心と恐怖心から沈黙を保っています」と一族を批判し、過去3年間のトランプ大統領の言動が出版をする決意をさせたと説明しました。

 ボルトン回顧録もそうですが、トランプ支持者はメアリー暴露本をフェイク(偽)として片づけることは間違いありません。ただし、共和党保守本流で民主党のバイデン前副大統領を支持する「隠れバイデン」は、メアリーさんの暴露本によってトランプ大統領に対する不信感がさらに高まるでしょう。

 加えて、4年前に民主党支持者でトランプ大統領に投票をした「隠れトランプ」の中で、今年の大統領選でバイデン氏に投票する有権者は暴露本で描かれているトランプ氏の不誠実さに注目するに違いありません。

 要するに、メアリー暴露本とボルトン回顧録はトランプ支持者ではなく、「隠れバイデン」及び「隠れトランプ」に一定の影響を与える可能性があります。

  
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