2024年11月22日(金)

安保激変

2012年7月6日

 オスプレイは米海兵隊に絶対不可欠な装備である。オバマ政権はその「アジア重視」戦略の中で海兵隊を重視し、沖縄だけでなくグアムやダーウィンなどへの分散配備を進めている。分散された海兵隊には機動力の向上が不可欠であり、オスプレイはその鍵である。

 21世紀の海兵隊にとって必要とされる装備のうち、次世代水陸両用強襲装甲車両の開発が中止となり、海兵隊仕様の垂直離着陸戦闘機F-35Bの開発も遅れている。その上、オスプレイまで導入が遅れることになれば、海兵隊が今後地域の平和と安定に貢献することは難しくなるだろう。ひいては尖閣諸島の防衛など、日本の安全保障にも悪影響を及ぼす。

パフォーマンスではなく責任の所在を明確に

 では、地元の不安を軽減しながらオスプレイを配備するにはどうすればよいだろうか。

 今月末にも森本防衛大臣が訪米し、パネッタ国防長官と会談してオスプレイの安全性に確約を引き出すと報道されている。その際、森本大臣がオスプレイに試乗することも予定されているらしい。ナンセンスである。配備撤回を求める地元はより反発するだけだろう。

 地元が必要としているのは、そのようなパフォーマンスではなく、万が一事故が起こった場合の責任の所在を明らかにすることである。つまり、米軍の事故調査に基づいて日本政府が安全を主張するのではなく、日本政府が独自にその安全を検証し、万が一の事故の際は政府が責任を取ると明言することなのである。

 1964年に初めて米海軍の原子力潜水艦が日本に寄港した際、米海軍が提供する原子炉の安全性を日本の原子力委員会が科学的に検証し、これを日本政府の責任において受け入れた。同様に、日本政府は米軍の情報に基づきオスプレイの安全性を独自かつ科学的に検証する委員会を作り、政府の責任において配備を受け入れるべきである。

 オスプレイは南西諸島のように離島が多い地域での作戦には非常に有用であるし、大規模災害時の救援活動でも効果が期待できるため、将来的には日本もオスプレイの導入を目指すことになろう。だからこそ、日本が独自の安全性を検証すべきである。


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