2024年11月22日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年9月3日

「郊外の女性票」獲得

 18年米中間選挙で共和党は郊外在住の女性票を民主党に奪われ、下院で多数派を失いました。バイデン氏は民主党の副大統領候補カマラ・ハリス上院議員を使って郊外の女性票獲得に乗り出します。

 その対策としてトランプ大統領は討論会において、バイデン氏を「犯罪に弱いリーダー」として描きます。バイデン氏が大統領に就任すると、大都市で発生している暴動が郊外にも拡大して無法状態になると脅します。その狙いは、郊外に住む女性の有権者に恐怖心を与えて、彼女らの票を獲得することです。

 加えてトランプ大統領は、バイデン氏が左派のバーニー・サンダース上院議員の支持者の票を失いたくないので、暴動を起こしている無政府主義者、扇動者及び略奪者を非難しないと主張するでしょう。そのうえで、「バイデンはサンダースの操り人形だ」と畳みかけます。

 トランプ氏の意図は、左派を嫌う共和党保守本流が、中道穏健派のバイデン氏に投票をするのを食い止めることにあります。いわゆる共和党員でありながら、民主党のバイデン氏に投票する「隠れバイデン」の阻止です。

トランプの罠にバイデンははまるのか?

 トランプ大統領は討論会で、バイデン氏にある罠を仕掛けてくる可能性があります。周知の通り、バイデン氏は少年期から吃音症に悩んできました。

 トランプ氏はバイデン氏が認知症であると訴えています。

 仮に77歳のバイデン氏が討論の最中につまれば、視聴者の中には吃音症ではなく認知症と解釈して、大統領としての資格がないと判断する者が少なからず出てくるでしょう。トランプ氏はそこを狙っています。 

 討論会でトランプ氏はバイデン氏が焦って反論してくる場面を作り、吃音症の症状が出るように導きます。例えば、トランプ氏は新型コロナ対応に成功したと主張し、対応の「歴史認識」を書き換えようとしたとしましょう。即座に、バイデン氏は反論します。そのときつまると、トランプ氏の罠にはまってしまいます。


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