2024年4月26日(金)

Wedge REPORT

2012年7月23日

 原子力発電は40年で廃炉<選択肢(2)に相当>にしつつ、2030年で▲30%(従来のエネルギー基本計画レベル)の温室効果ガスを削減することを前提に、既存設備のビンテージを考慮して導いたものである。

 まず、上段のkW(設備容量)に対し、中段のkWh(発電電力量)は非連続的な変化をみせる。コスト負担が小さくなるように各電源で稼働率の調整が図られる結果だ。

 再生可能エネルギーは急激に拡大し、30年に設備容量の4割を超える水準にまで達するが、これでも基本問題委員会における選択肢の導入想定には及ばない。原子力を早期にゼロとする選択肢では更に5割増し程度の導入量を見込んでいるが、設置余地や年間の導入量にも一定の制限があること、また、変動を補う調整がセットで必要なことなどを踏まえると現実味のある水準とは言えない。

 CO2制約を満たすためには再生可能エネルギーの拡大だけでは不十分であり、天然ガスを最大限活用していくことになる。CO2制約が無ければ、コスト面で有利な石炭火力の設備容量が増え、電力量構成も増していくことになる(中段右図)。

 燃料費に着目すると、CO2制約に対応し天然ガスシフトを進めることにより発電原価に占める燃料費は約4割上昇する。一方で、中段右図のように石炭利用を一定レベル維持できれば、燃料費の上昇はほぼゼロに抑えられる。

 石油火力や石炭火力の稼働は減っていくが、設備容量は一定程度維持されている。仮にこれを現在に近いレベルに高稼働をさせたとすると、下段の図に示されるようなバランスが保たれる。これは依存度の高まる天然ガス火力の一定レベルの停止が生じた場合の代替の柔軟性を示すものであり、稼働率による設備余力が今後の電源構成を考える際のキーになってくることがわかる。


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