「ベター」ミックスの 継続的な追求を
このように、今後のエネルギー需給構造を考える際には、どのようなリスクがどのような確率で起こり得るかの知見を集約し、その時々の設備余力でエネルギー需要を満たすことができるかどうか、シナリオ評価を重ねていくことが重要である。
日本にはエネルギーミックスの自由はない、といっても過言ではない。
従来、日本としてあるべきエネルギー源の割合を「エネルギーベストミックス」と呼んでいた。しかしながら、とりわけ不確実性が大きな現状においては絶対優位という意味での「ベスト」な状態を見極めることはきわめて困難である。日本に求められるのは、「ベター」ミックスを継続的に追求することである。
震災を通じ、安全にこれまで以上にコストをかけねばならないことが確認された。一方で、暮らしの安全や安心に通ずる安定供給にもまた一定の費用がかかる。その費用を最小限に抑えるためにも現存する設備をできる限り大切にし、エネルギーの多様性を維持していくことが肝要だ。
ベターミックスを追求するプロセスにおいて再生可能エネルギーが重要であることと同様に、原子力の持つ重要性も放棄すべきではないというのが私自身の考えだ。そのために今為すべきことは、エネルギーミックスを断定的に選択することではなく、持てるリソースを尊重し、時々のエネルギー情勢を勘案して柔軟な決断を重ねるための議論や仕組みづくりを進めていくことである。
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