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2020年10月7日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 コロナ禍の長期化がホテル業界にもダメージを与えてきている。全国展開している中堅のユニゾホテル(本社・横浜市)は「インバウンド(訪日外国人)の激減により店舗の採算が悪化して、営業している26店舗のうち14店舗を12月15日までに閉鎖し、大半はほかのホテルに売却する」と明らかにした。全国展開しているホテルチェーンが半分以上の店を閉めるのは初めてのことで、ビジネスホテル業界は利用客の減少で厳しい状況を迫られている。

(Lazy_Bear/gettyimages)

 ユニゾホテルはホテルユニゾ、ユニゾイン、ユニゾインエクスプレスの3ブランドで展開してきたが、ユニゾイン札幌、同広島駅前、同八丁堀、ホテルユニゾ渋谷、銀座7丁目など14店舗を閉める。残りの店はこれまで通り営業を続けるという。同ホテルは数年前から地方のホテルを買収するなどして拡大してきたが、コロナ禍でインバウンド客が大幅に落ち込んだことから利用客が減少していた。

 またマンション経営とホテル事業を手掛けているTHEグローバル社(本社・東京)は、2020年6月期決算で売上は前年同期比28%減少、42億円の経常赤字を出した。同社は「新型コロナの影響が経営に影響したため、広島と京都にあるホテル3棟は売却したが、ほかは売却ができず、ホテルの運営の自粛、休止を余儀なくされた」としている。東京でもホテルの開発は行っているが現状では見通しが立っていない。

 インバウンドを当て込んでこれからホテルを建設しようとしたプロジェクトも一部が宙に浮いている。宇都宮市が進めているJR宇都宮駅東口地区の開発では、タイ資本の高級ホテルが2022年8月に開業する予定だったが、建設予定地は現在も更地のままで、ホテルの着工に至っていない。同市役所のJR宇都宮駅東口地区事業整備室は「東口整備事業ホテル以外は開業に向けて進んでいるが、進出が予定されているタイのホテルの開業はこれには間に合わないと聞いている。デベロッパーの努力を期待しているが、万が一ここが来ないことになっても、ほかのホテルと協議することになっている」と話している。

 不動産ジャーナリストの榊淳司氏は「新規参入のホテルが、2年ほど前にインバウンドの増加を見込んで東京都内中心部の土地をマンション業者が買う価格よりはるかに高い価格で買いあさっていた。こうした企業がホテルを建て開業したら、インバウンドが全く来なくなり当てが外れた形だ。資金力の弱い独立系のホテルは経営状況が厳しくなるのではないか」とみている。

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