WEDGE REPORT

2020年11月8日

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2つに割れる側近たち

 現職の大統領として再選に失敗したのは第二次世界大戦以来、トランプ氏がカーター(民主党)、ブッシュ(父、共和党)両氏に続いて3人目。トランプ氏が最も嫌悪する「敗者」になった。

 トランプ氏がバイデン氏に敗れたことを知った時、バージニア州スターリングにある「トランプ・インターナショナル・ゴルフクラブ」でプレー中だった。ワシントン・ポストによると、同氏は在任中、247回のラウンドを行ったが、これは1週間に2回のペース。同ゴルフ場では97回プレーしたという。同氏はこの知らせに急きょ、プレーを中断し、ホワイトハウスに戻った。

 同氏は郵便投票をかねてから「不正の温床」と非難。今回も「勝っていた自分の得票が魔法のように消えてしまった。詐欺行為だ」などと怒りを表明したが、遅れて開票された郵便投票はバイデン氏支持票が多く、ペンシルベニアやジョージアなどでトランプ氏を逆転する“レッドミラージュ”(赤い蜃気楼)現象が起きただけだ。トランプ氏が言うように不正が起きた証拠はない。

 トランプ氏は「選挙は全く終わっていない」「合法的な選挙なら容易に勝っていた」と負けを認めず、最高裁にまで持ち込んでも勝敗を争う考えを変えていない。しかし、こうした試みが成功する見通しは暗い。陣営が集計停止を求めて提訴したミシガン州やジョージア州では既に訴えが退けられた。

 大統領のホワイトハウスへの居座りに固執する姿勢は身内の共和党内でも批判的な声が強い。「危険で衝撃的」(サントラム元上院議員)、「愚かだ」(ケーシック元オハイオ州知事)などといった具合だ。米紙によると、トランプ氏の選挙後の対応をめぐっては側近らが二つに割れているという。1つは家族を中心とする徹底抗戦を主張するグループ。もう1つは大統領の“名誉ある撤退”を探るグループだ。

 トランプ氏の長男ジュニア氏や次男のエリック氏らはツイッターで、「大統領支持に立ち上がって不正と戦おう」などと呼び掛けているが、同調者は少ない。“名誉ある撤退”を探るグループには共和党の有力者らも含まれているとされるが、このまま大統領の「負け戦」に付き合えば、自分たちが返り血を浴びることになりかねないと懸念しているようだ。

 こうした中で注目を集めているのはペンス副大統領の対応だ。次の大統領選挙の共和党の有力候補なだけに、「トランプ氏を見限って次に備えるべきだ」(アナリスト)という意見も強まるかもしれない。しかし、一方で「大統領を見捨てた」(同)と受け止められる可能性があり、ハムレットの心境だろう。

  
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