米大統領選は6日、バイデン前副大統領が東部ペンシルベニア州や南部ジョージア州の開票でトランプ大統領を逆転、勝利に大きく近づいた。バイデン氏は同夜、全米向けに「勝利しつつある」と演説した。トランプ氏はあくまでも「不正選挙」として法廷闘争に持ち込む構えだが、主張に根拠がなく、窮地に追い込まれた。共和党では今後、大統領に敗北を認めさせるため“誰が鈴をつけるのか”の論議も始まろう。
郵便投票の開票で逆転に次ぐ逆転
バイデン氏とトランプ氏の獲得選挙人数は6日夜の段階で「253対214」。しかし、各州の発表やメディアの報道などによると、バイデン氏は同夜までに、ペンシルベニア州(大統領選挙人20人)の勝利確定にあと一歩のところまで迫っている。開票率96%段階で、バイデン氏が49.6%、トランプ氏が49.1%を獲得。0.5ポイント、得票差で2万8000票余り上回っている。
残票は民主党が強い地域からの票であることから、バイデン氏の勝利は濃厚。ペンシルベニアを制すれば、同氏の獲得選挙人は過半数の270人を上回って273人に達し、当選が確実となる。同州では一時、トランプ氏が50万票以上リードしていたが、郵便投票分が集計されてからその差は一気に縮小し、遂に逆転した。
ペンシルベニア以外でまだ大勢が決まっていないのは、南部ジョージア(選挙人16)、ノースカロライナ(同15)、西部アリゾナ(同11)、ネバダ(同6)、アラスカ(3)の5州。このうち、共和党の牙城と言われたジョージアでも、郵便投票分が開票されてからバイデン氏が逆転。49.4%対49.3%(開票率98%強)と大激戦となり、バイデン氏が4400票ほどリードしている。未開票分はバイデン支持票が多いとされる。僅差のため、トランプ陣営の要求で再集計される見通し。
アリゾナとネバダはバイデン氏の優勢が続いている。ネバダ州では、バイデン氏のリードが拡大、開票率93%段階で同氏が1.8ポイント、約2万票差の優位となっている。共和党の地盤であるアリゾナでは、バイデン氏のリードが縮まりつつあるが、開票率94%段階で、1.3ポイント、4万票ほどトランプ氏を上回っている。
ノースカロライナとアラスカはトランプ氏が逃げ切る可能性が高い。しかし、優位にあるペンシルベニア、ジョージア、アリゾナ、ネバダの4州で勝てば、バイデン氏の獲得選挙人は最終的に306人に達し、大勝となる。トランプ氏は232人にとどまる見通し。これはくしくも前回の獲得選挙人数「トランプ306、クリントン232」が逆転した形だ。
バイデン氏はクリントン氏が前回失った中西部のミシガン、ウィスコンシンを制し、民主党の“青の壁”を取り戻した。さらに共和党が伝統的に強かったアリゾナ、ジョージアでもトランプ氏を上回る得票を重ねた。バイデン氏の6日夜の演説は勝利宣言ではなかったが、勝利に自信を示し、新型コロナウイルス、経済、人種問題などで国民から委ねられたと述べた。