退路を断つ覚悟を固めた
ただ、そんな石井監督も今回の全権監督就任によって退路を断つ覚悟を固めたのは間違いないだろう。この就任に伴って球団とは複数年契約が交わされているとのことだが、それはあってないようなものである。もし2021年シーズン、チームが結果を出せないとなると石井監督が責任を取らねばならなくなるのは必至だ。優勝を逃し、最悪でも2位に滑り込めなければ、かつて3位でも事実上の〝監督解任〟へと追いやった平石氏に対する振る舞いとの整合性が取れなくなるからである。
少なくとも3位以下に終わるようなら来シーズン終了後、世間から石井監督への風当たりがピークに達することは容易に想像がつく。そうなっても「契約が残っているので来季こそは何とか頑張ります」などと開き直れれば、それこそ針のむしろだ。たとえ契約途中であっても平石氏、三木氏と同じく石井監督も職務から離れる道を選ぶしかない。とにかく、もう逃げ道は一切ないことを本人も肝に銘じているはずである。
さてイーグルスの2021シーズンは、その石井新体制で勝ち目があるのだろうか。情報を総合した上で個人的に言わせてもらえば、どうしても厳しい戦いを強いられそうな予感が拭えない。前記したようにGMの重責と指導者経験が皆無ながらいきなり現場トップの監督業までも兼務するというのはかなりの〝離れ業〟だ。それを石井GM兼監督が卒なくこなしている絵面は失礼ながら未だなかなか頭に浮かんでこないのである。
とはいえ、周囲の逆風を一切気にせず己のポリシーを貫くことができるのも石井GM兼監督の強みだ。就任会見の際にも「この仕事は非難いっぱい、称賛少しという仕事」というセリフを口にしていた。周囲の不安が杞憂に終わり、目指すべき理想の野球とチーム作りを完遂させることができるのか。まずはお手並み拝見といきたい。
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