2024年5月3日(金)

人事部必見! 御社の研修ここが足りない

2012年8月21日

組織横断的な人脈の形成を

 新卒採用数は、高校卒、学卒、院卒の合計で毎年40人程度。採用基準は海外勤務可能者、技術開発者、地域でのメンテナンスサービス・施工をともなう営業所勤務者、工場における製造技術者、スタッフ系など。様々な職種に就いてもらうことを見据えて採用し、3年間の研修期間で適正を判断していくという。

 新卒採用者は全員(既婚者は除く)、守谷工場内の寮で約3年間を過ごすのが決まり。高卒から院卒までの年齢の違う者が入り混じって同期となり、一つ屋根の下で“同じ釜の飯を食う”ことを重視する。ここから将来にわたる絆ができあがることを期待しているそうだ。それは寮生活を通して部署を超えたつながり「共同体」という意識。数年後には同期のそれぞれが海外、国内、工場、本社などでバラバラに配属されるが、部署を超えた同期のパイプは強く結ばれていく。言い換えれば組織横断的な人脈が形成できるという考え方だ。人間関係の強さを最初に築いておくことは、決して無駄にはならない。

 現在、多くの会社が悩み実現できないのが、全社横断的な対応。部門ごとにまとまり対抗意識が強まることで起きる縦割りの弊害。前川製作所は、それを社員一人ひとりのつながりの中で解消させていこうという発想だ。この取り組みは経験から学んだ自然な行動とみることができる。

 新入社員は、全員で2カ月間の導入研修を座学で学び、その後、3つのグループに分かれ、異なる配属先で2カ月ずつ3カ所の現場研修を受ける。そのうちの1カ所が研修センターという位置づけだ。2グループが現場研修中に1グループが研修センターで技術基礎を学ぶ。一回りすると1年。2年目以降は、仮配属として3年目まで製造現場での勤務となる。3年間の研修期間だが、2年目以降は本人の適正を見極め、本社や各地の営業所などへの異動もあるという。

外向きの対応もこなせる人材の育成

研修センター技監・安達孝志さん (撮影:著者)

 「育て上げたい人材は、開発製造からメンテナンスまでを熟知する技術者ではありません。その上に、さらに、サービスマンとしてお客様とのコミュニケーション能力、提案力をもったコンサルまで、すべてです」と研修センター技監の安達孝志さんは強調する。開発製造から販売、メンテなどすべてを一社で行う前川製作所だからこその考え方だ。国内外の拠点にいる前川マンたちは、技術者、サービスマン、営業、コンサルタントだけでなく新規案件の提案までこなせなければならない。「研修は製造中心ですが、ハードを覚えた次、その先にある外向きの対応をこなせられる人材育成を目的にしています」と安達さん。実際の運営にあたっては目標が高いだけに現実とのギャップも大きい。


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