マイワシは資源回復のチャンス
今年は、2010年に生まれたマイワシの資源量が多いので、資源回復の大チャンスです。マイワシは1975年から水揚げが増え始め、1988年には、450万トンを漁獲、その後資源が急速に減少し、2005年には3万トンにまで減少していましたが、2011年には17万トンと漁獲が増えています。
しかし、「銚子港 水揚げ日本一へ大手!」「3年連続加入良好、取り戻せるか、かつての盛漁」といった報道となってしまっており、そこには「漁獲を適切に管理し、増加しつつある資源を獲り尽くさずに十分な量の産卵親魚が育つような適切な措置が重要(水産白書 平成24年版)」は感じられません。
サンマもウナギの二の舞か
もう一つ例を挙げます。今年のサンマの推定資源量は、160万トンと前年度の3割減との発表となりました。本来であれば、資源量の懸念や漁獲枠の削減が論ぜられるべきですが、話題の中心は、「ウナギに続き、サンマも高値?」「値段にギョッ!」と価格のことばかりが目立ちました。
中国・台湾他の漁船が、日本のEEZの外で、日本に来遊する前のサンマを大量に漁獲していることなどは、話題にもなりません。世界の水産資源を取り巻く情勢はどんどん変わってきており、対処しておかねばならない問題は山ほどあるのです。
自国の資源管理の現実、及びこれから起こり得る問題を正しく認識し、的外れではない先を見据えた素早い政策が不可欠です。そして、報道に関しては、水産業の将来象を意識した、思慮があるものになっていくことを願います。
WEDGE9月号にも、片野さんの記事が掲載されています。
「ウナギ激減の真犯人は日本人 漁業の求められる資源管理」
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