2024年12月23日(月)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年12月8日

5日、ジョージア州の上院決選投票の応援演説を行ったトランプ大統領(AP/AFLO)

 今回のテーマは、「トランプ恩赦と2024年?」です。複数の米メディアは、退任まで残り50日を切ったドナルド・トランプ大統領の恩赦の可能性に関して報道しています。トランプ大統領が自己恩赦を行うというのです。

 果たして、トランプ氏は自分に恩赦を与えることはできるのでしょうか。仮に24年米大統領選に出馬する場合、どのようなタイミングで出馬宣言をするのでしょうか。本稿ではトランプ氏の恩赦及び、出馬宣言の時期について述べます。

「恩赦が欲しい」

 トランプ大統領はこれまで大統領特権によって守られてきましたが、来年1月20日民間人になります。脱税、中国における秘密口座の存在、大統領の地位を利用した利益誘導並びに不倫相手に対する口止め料など、様々な疑惑を抱えているトランプ氏は、バイデン新政権の司法長官が本格的に捜査を行い、同氏を起訴することを懸念していると、メディアは報じています。そこで同氏は、予防的な恩赦を欲している訳です。

 過去の恩赦の例をみてみましょう。ジェラルド・フォード第38代大統領は1974年、ウォーターゲート事件で起訴される可能性が高かったリチャード・ニクソン第37代大統領(共に共和党)に、機先を制して恩赦を与えました。

 ただフォード氏は後に、重い代償を払うことになります。ニクソン氏に与えた恩赦を巡り、米国民から非難を浴び、1976年の大統領選で民主党のジミー・カーター知事(当時)に敗れました。

自己恩赦

 合衆国憲法第2条は、「弾劾の場合を除き、米国に対する犯罪に対して、刑の執行延期と恩赦を認める」権限を大統領に与えています。

 第2条の恩赦に関する文言には、自己恩赦に関する記述はありません。そこで、トランプ大統領には自分に恩赦を与える可能性があります。

 実際トランプ氏は18年、「大統領には自分に恩赦を出す絶対的な権利がある」と、自身のツイッターに投稿しています。加えて、米メディアはロシア疑惑の渦中にあったトランプ大統領が、ホワイトハウスの顧問弁護士に対して大統領は自分に恩赦を与えることができるのか、質問をしたと報じました。同氏はすでに自己恩赦に高い関心がありました。


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