起用法で頭を悩ませるシーズンになる
一方、野手では巨大補強によって井納とともにDeNAから国内FA権行使の梶谷隆幸外野手も獲得。こちらも4年総額8億円(推定)という好条件で契約締結に至り、球界関係者を騒然とさせた。さらにメジャー通算6年96発を誇る34歳のエリック・テームズ(前ワシントン・ナショナルズ=一塁手、外野手)とも1年契約、推定年俸120万ドル(約1億2500万円)で合意。そして米メディア発の情報によれば、メジャー通算11年196発の大砲ジャスティン・スモーク(前サンフランシスコ・ジャイアンツ=一塁手)とも600万ドル(約6億3000万円)から700万ドル(約7億3500万円)の超破格値の年俸で契約合意目前となっているという。新戦力の大物野手陣3人が揃って下馬評通りの大暴れを果たせば、巨人はかつてのような「超重量打線」を組み立てられ、他球団にとってはかなり脅威になる。
だが、そう思い通りに事が運ぶのだろうか。巨人のOBからは「梶谷は来年33歳。昨季こそFA取得年でハッスルし、大きなケガで登録抹消されることなくシーズンを〝完走〟したもののこれまでを振り返ると基本的には故障が多く、1年を通じての活躍は望み薄だ。井納にも同じことが言える。ベテラン2人を獲得し、せっかく育ってきた投打のヤングGたちはどうやって起用していくのか。テームズ、スモークも経歴は凄まじいが、肝心なのはNPBにアジャストできるかどうか。落ちるボール、外に逃げる変化球を多投する日本の投手に苦しめられれば、絵に描いた餅に終わる。経歴が立派でも通用しない助っ人はNPBでここまで何度も見てきた。しかも来季の巨人はこの2人が加われば、投手4人、野手4人の助っ人8人体制。入れ替えに神経を使うことになるだろう。原監督は今まで以上に、かなり起用法で頭を悩ませるシーズンになるはず」とやや厳しい見方も向けられている。
しかも2021年シーズンは原監督にとって3年契約のラストイヤー。これまでにないほど選手起用に神経を尖らせながら、自らの後継者選びにも目を配らねばならない。そのうえでリーグV3を達成し、日本シリーズで8連敗中の屈辱を味わわされている福岡ソフトバンクホークスに何とかリベンジを果たして有終の美を飾りたいところだろう。非常に難しいかじ取りを強いられそうだが、百戦錬磨の原監督の手腕にGの命運が託されている。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。