なぜトランプはペンスを即座に助けなかったのか?
ペンス前副大統領は15年共和党全国党大会で副大統領候補に指名されてから、約5年間トランプ氏に対して高い忠誠心を誓ってきました。にもかかわらず、過激な極右団体によって連邦議会議事堂が占拠され、ペンス氏と家族の命が危険にさらされても、トランプ氏は即座に助けませんでした。
弾劾管理人によれば、トランプ前大統領は議事堂乱入事件が起きた1月6日午後2時24分、自身のツイッターに、ペンス氏は憲法を擁護するために実行する勇気がなかったという内容の投稿して非難しました。上下両院合同会議で議長を務めるペンス前副大統領が、20年米大統領選挙におけるバイデン大統領の選挙人確定を阻止しなかったからです。
実際、ペンス前副大統領には選挙人確定を覆す権限はないのですが、トランプ氏は同前副大統領に失望し怒りをぶつけました。事実上、ペンス氏は「裏切り者」というメッセージを暴徒に発信したことになります。
弾劾裁判では議会の防犯カメラに映った暴徒が、「ペンスは裏切り者だ」「ペンスをつるし上げろ」と叫んでいる様子が紹介されました。暴動が発生してから、約3時間半後の午後4時17分にトランプ前大統領はやっと暴徒に向かって帰宅するように促しました。その際、彼らに対して「我々はあなたたちを愛している。あなたたちは極めて特別な人たちだ」と絶賛しました。
暴徒による議会襲撃の間、ペンス氏の護衛官はホワイトハウスに状況を報告しました。トランプ前大統領はペンス氏と家族が遭遇した危機的状況を把握していた訳です。
しかも、バトラー下院議員が明かしたトランプ前大統領とマッカーシー院内総務の会話の内容から、同前大統領はペンス氏と家族の命よりも、トランプ支持の暴徒に関心があったことがはっきり読み取れます。これでは、トランプ氏は「非情な上司」として米国民に映っても当然でしょう。