今回のテーマは、「カウントダウン、トランプ『パージ』?」です。ドナルド・トランプ米大統領に対する上院弾劾裁判は早ければ、1月20日のジョー・バイデン次期大統領の就任式後に開催されます。
果たして上院弾劾裁判でトランプ大統領に有罪評決が下されるのでしょうか。トランプ有罪のハードルは本当に高いのでしょうか。本稿では、2019年に行われた1回目の弾劾裁判と比較して、トランプ有罪のハードルが下がる理由を挙げます。
トランプ有罪はマコネル次第
共和・民主両党は上院(議席100名)で、それぞれ50議席を確保しています。トランプ有罪評決には、3分の2に当たる67票が最低必要です。従って、民主党は17票を獲得しなければなりません。
『トランプが上院で有罪評決を受ける可能性』で説明しましたが、共和党上院で初めてトランプ大統領の辞任を求めたのが、リサ・マーカウスキー上院議員(北西部アラスカ州)でした。続いて、ベン・ササ上院議員(西部ネブラスカ州)及びパトリック・トゥーミー上院議員(東部ペンシルべニア州)もトランプ氏の辞任を支持しました。
1回目のトランプ弾劾裁判において、共和党上院議員で唯一賛成票を投じたミット・ロムニー氏(西部ユタ州)も上記の議員に加わるでしょう。さらに、米ワシントン・ポスト紙はリチャード・シェルビー上院議員(南部アラバマ州)並びにダン・サリバン上院議員(北西部アラスカ州)が弾劾支持に回る可能性があると報じています。ということは、民主党は現時点で6票を上積みできる公算があります。マジックナンバー「17」まで残り11票です。
トランプ有罪は共和党上院トップのミッチ・マコネル院内総務の言動によるといっても過言ではありません。マコネル院内総務は「トランプ大統領が弾劾に値する」と周囲に漏らしていると、米メディアは報じました。ただ、マコネル氏はトランプ有罪に賛成票を投じるのか決断を下していないと語っています。
1回目のトランプ弾劾裁判でマコネル氏は、「トランプ弁護団と協力する」「トランプ罷免はありえない」と断言しました。それと比べると、今回はトランプ擁護において温度差がかなりあります。トランプ大統領は強力なサポーターを失ったと言えそうです。
仮にマコネル氏がトランプ有罪に投票する声明を出せば、同氏に同調する上院議員が一気にトランプ罷免に傾く公算が高くなります。その中には、「浮動票」のスーザン・コリンズ上院議員(東部メイン州)及び2024年に共和党大統領候補指名を狙っているテッド・クルーズ上院議員(南部テキサス州)以外の議員がマコネル氏と行動を共にするでしょう。
逆に、マコネル院内総務がトランプ罷免に反対票を投じると声明を出せば、民主党はトランプ有罪の機会を逃がすでしょう。