海野素央の Democracy, Unity And Human Rignts

2021年1月12日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

 今回のテーマは、「トランプが上院で有罪評決を受ける可能性」です。ドナルド・トランプ米大統領は、結局1期で上下両院の多数派を失い、しかも自身も再選ができなかった大統領になります。その上、米国史上初の2回弾劾された大統領になる可能性が高くなりました。

 では、上院で弾劾裁判が開催された場合、果たしてトランプ氏は有罪になるのでしょうか。本稿では、今回の米連邦議会議事堂乱入事件の目的について分析した後に、トランプ有罪評決の可能性について述べます。

(REUTERS/AFLO)

なぜ手錠が必要だったのか?

 1月6日に米連邦議会議事堂を襲撃したトランプ支持の暴徒は、建物のガラスを破り侵入して器物を損壊しました。ただ、捜査が進むにつれて議事堂乱入事件では済まされない状況になってきました。銃器、火炎瓶及びパイプ爆弾が発見されたからです。ジョー・バイデン次期大統領が指摘するように、正に「国内テロ」と言えそうです。

 さらに、暴徒は手錠並びにプラスティック製の細いひもを用意していました。なぜ彼らは手錠と細いひもを必要としていたのでしょうか。

 おそらく、「不正選挙」を認めないナンシー・ペロシ下院議長ら議会民主党指導部及び、バーニー・サンダース上院議員(無所属・東部バーモント州)を含んだ急進左派の議員を拉致する計画だったのでしょう。

 選挙人を確定する上下両院合同会議の議長を務め、暴徒からトランプ大統領を裏切ったと見られているマイク・ペンス副大統領も拉致の対象になっていたかもしれません。トランプ大統領は、「ペンスには米国と憲法を守る勇気がなかった」と批判しました。

 2020年米大統領選挙で武装した自警団ミリシアは、中西部ミシガン州のグレッチェン・ウイットマー知事(民主党)拉致未遂事件を起こしました。今回の議会議事堂乱入事件で、暴徒は同様のアプローチをとった可能性があります。米連邦捜査局(FBI)は以上の点を捜査しています。

なぜ絞首台を設置したのか?

 ところで、議事堂の外には首つり縄がくくられた絞首台が設けられました。白人至上主義者にリンチにあって殺害され、木につりさげられた黒人は、「奇妙な果実」と呼ばれました。今回の議会議事堂乱入事件には、トランプ支持の白人至上主義者が参加していたので、彼らが絞首台を設置したのでしょう。

 ただ、彼らの標的は黒人ではなく、不正選挙を認めない議員と裏切りの者のペンス氏であったはずです。

 実際、暴徒が「ペンスを絞首刑にしろ」と叫んでいたと、米メディアは報道しています。となると、言い過ぎかもしれませんが、「奇妙な果実」は手錠をかけけられたペンス氏になっていたかもしれません。

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