中国が米国に核戦争を仕掛けたら?
多くのトランプ支持者が利用しているウェブサイトTheDonald.Winに、ある利用者が「1月6日は記念すべき日である。忘れるな」と投稿をしました。議会議事堂乱入事件が発生した1月6日を「革命記念日」として祝っているのです。
別の利用者はトランプ大統領のツイッター永久停止に関して、「中国が米国に核戦争を仕掛けたら、誰が我々に教えてくれるのか。トランプがツイッターで教えてくれる」と投稿して反論しました。確かに、ツイッターはトランプ氏と支持者が直接コミュニケーションをとるための極めて重要なツールでした。
2015年6月に大統領選に出馬して以来、トランプ大統領は約5年半の間に「言論の自由」を盾にして、ツイッターを最大限利用し、「もう1つの真実」(ウソ)を拡散してきました。トランプ信者は20年米大統領選挙でトランプ票がバイデン票に書き換えられたという「もう1つの真実」を信じて、民主主義の聖地である連邦議会議事堂を襲撃する狂信的な行動に打って出ました。もちろん、冷静なトランプ支持者も存在します。
ただ、「言論の自由」「ツイッター」「もう1つの真実」の3つを巧みに組み合わせて、信者を暴徒化させたトランプ大統領に対して責任をとらせるのは当然です。率直に言ってしまえば、トランプ大統領のツイッターは「言論の自由」の限界を超えました。トランプ氏のツイッター永久追放は妥当な判断と言わざるを得ません。
「導火線」を渡した共和党
乱入事件の当日、化学兵器による攻撃に備えて、下院議場でガスマスクを着け、椅子の下に伏せていたジェリー・コノリー議員(民主党・南部バージニア州第11選挙区)は、「議会共和党は支持者に向かって、今回の大統領選挙で不正が行われ選挙が盗まれたと、数カ月間ウソをついてきた」と非難しました。
加えて、コノリー議員は「ドナルド・トランプが暴徒を扇動して火をつけたことに疑いの余地はない」と厳しく批判したうえで、「しかし議会共和党が(トランプに)導火線を渡したことを忘れてはならない」と主張しました。
「言論の自由」「ツイッター」「もう1つの真実」を駆使して民主主義を冒瀆したトランプ氏を擁護してきた議会共和党議員は共犯者だと、コノリー氏はみています。
そのコノリー議員が1月12日(日本時間)、「米国は困難な時期に直面しているが、切り抜けるだろう」という内容のメールを筆者にくれました。今回の議会議事堂乱入事件は、米国社会の分断のマグマが一気に爆発し、民主主義の根幹を大きく揺るがしました。コノリー氏は米国民はその危機を乗り切れるとみています。