海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2021年3月26日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

謙虚さと反論

 楊氏は会談でブリンケン氏に、「あなたは日本と韓国を歴訪してきたと言うが、両国は中国の2番目と3番目の貿易相手国だ。ASEAN(東南アジア諸国連合)は中国にとって最大の貿易パートナーだ」と主張し、「経済のカード」を切って米国側をけん制しました。

 その狙いは、経済のカードを利用して日米韓の同盟国にくさびを打ち込むことです。この発言には日韓両国に対して経済関係の重要性を再認識させ、釘を刺す意図もありました。

 さらに、中国の人権問題を指摘された楊氏は、BLM(ブラック・ライブズ・マター:黒人の命だって大切だ)の運動を持ち出し、米国内における黒人の虐待行為を追及しました。これに対して、ブリンケン氏は「米国は過ちを犯すこともあるが、無視をして、存在しないかのように振舞わない。隠したりもしない」と反論しました。新疆ウイルグ自治区の人権侵害を指していることは明らかです。

 続けて、ブリンケン国務長官はジョー・バイデン副大統領が習近平副主席(共に当時)と会談した際の会話の一部を紹介しました。バイデン氏が習氏に「反米に賭けるのは決して良いアイデアではない」と語ったというのです。ブリンケン氏は「それは現在でもいえる」と中国側に伝えました。バイデン氏の発言を引用しながら、反米の言動は中国の利益にはならないというメッセージを発信した訳です。

 中国側は感情的になり指弾などのジェスチャーを交えて激しく批判したのに対して、ブリンケン・サリバン両氏はどちらかと言えば冷静で静かに反論をしていたといえます。

 特にブリンケン氏は、冒頭発言は1人2分間という約束を破り通訳時間を含めて20分以上も強い口調で語った中国側に対し、自分が余分に発言するとき「許されるならば」という表現を使い、謙虚な姿勢を見せながら反論を行っていました。

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