海野素央の Democracy, Unity And Human Rignts

2021年3月3日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

CPACで演説するトランプ大統領(REUTERS/AFLO)

 今回のテーマは、「2021年保守政治活動会議(CPAC:シーパック)でのトランプの演説」です。ドナルド・トランプ前大統領は2月28日、南部フロリダ州オーランドで開催された保守系団体CPACの年次総会で、約1時間半にわたり演説を行いました。この演説でトランプ前大統領は一体何を語ったのでしょうか。そして、トランプ氏の演説は低下する共和党のイメージを高めることができたのでしょうか。本稿ではトランプ氏の演説を読み解きます。

トランプが新党結党を拒否した理由

 トランプ前大統領は演説の冒頭、「新党を立ち上げない」と述べ、「新党結党はフェイクニュース(偽情報)だ」と語りました。その背景には一体何があったのでしょうか。

 共和党下院トップのケビン・マッカーシー院内総務は1月28日、米南部フロリダ州の邸宅マールアラーゴでトランプ前大統領と会談しました。トランプ・マッカーシー両氏は、22年米中間選挙で共和党下院における多数派を奪還するために協力することで一致しました。

 続いて、共和党下院ナンバー2のスティーブ・スカリス院内幹事が2月16日、マールアラーゴを訪問して将来の同党におけるトランプ氏の役割について会談を行いました。下院の2人の大物議員がトランプ氏を訪問した訳です。それに対して、共和党上院トップのミッチ・マコネル院内総務はマールアラーゴを訪れていません(日本時間3月3日時点)。

 20年米下院選において当初共和党は民主党に苦戦を強いられると見られていましたが、トランプ前政権下で14議席も上積みしました。仮にトランプ前大統領が第3党を立ち上げれば、共和党下院は議席を失うことは必至です。

 そこでマッカーシー院内総務及びスカリス院内幹事は、新党結党を臭わせて共和党を牽制したトランプ前大統領に屈したのです。トランプ氏の資金力が魅力的であったことは間違いまりません。   

 一方トランプ前大統領には、共和党内に反トランプの動きがあるものの、支持基盤を武器にして影響力を維持できるという読みがあったのでしょう。

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