頭部に装着すると、まるで映画館で観賞しているように眼前にワイドスクリーンが広がり、内蔵ヘッドホンからの音響も迫力がある。HDと呼ばれる高画質のコンテンツに対応し、通常の映像だけでなく3D(立体映像)も楽しめる。
発売は2011年の11月だが、注文が殺到したため今年5月には予約受注を一時停止し、7月下旬に再開するという人気ぶりだ。
デジタル映像・音声の入出力規格であるHDMIの端子があるブルーレイディスクレコーダーや、ソニーのゲーム機であるプレイステーション3などと「HMZ-T1」に付属のプロセッサーユニットをつないで使う。店頭での実勢価格は5万9800円。
開発陣がこだわったのは、映画館でスクリーンに集中する時の「没入感」であり、館内に居るような臨場感をパーソナルに、かつ周囲への音もれを気にせずに体験できるよう目指した。500人程度が入れる映画館のワイドスクリーンはテレビ画面だと750型相当であり、そのスクリーンを20メートル離れた位置から見るという仮想状況に基づいて設計している。
実際の画面は、次世代の高精細テレビ用として注目されている「HD有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネル」。普通サイズの切手よりも小ぶりの0・7型パネルを2個装着し、光学レンズで拡大したうえで、左右それぞれの目で見る。
有機ELパネルは自ら発光するので、液晶パネルのようにパネルの背面から光を当てるバックライトはない。このため、バックライトの影響を受けることなく、映像本来の色の忠実な再現に長けている。また、発光の応答性にも優れているため、スポーツやゲームなど動きの速い映像も、より滑らかに表現できるのが特徴だ。
左右の目にそれぞれのパネルを使うことで、3D映像も、より自然な再生が可能となった。3D映像をテレビのように、1つのパネルで表示する場合、通常は左右の目で見る映像を超高速で繰り返し切り替える方式が採用されている。この方式の難点は、左右の画像が混ざる現象が生じやすいことだが、左右用に独立したパネルを使うことで解消した。
音響は、前後左右に置かれたスピーカーから音源が再生されるかのような「5.1チャンネル」相当のバーチャルサラウンド技術を採用している。