統一戦線工作の「敵」と「友」
そして何よりも、人民政治協商会議(政協)というのは、統一戦線工作組織であり、賈は統一戦線工作のトップだ。「敵」を孤立させるため、「友」を結集するのが統一戦線工作の基本原則。日本国内の親中派を味方に付け、野田政権または日本政府に圧力を加えるという思惑が強かった。さらに友好7団体という「民間」を使って「政府」を動かす「以民促官」という、中国が国交正常化前から得意とした対日戦略を駆使したのだ。
中国外交部所蔵の外交档案によると、毛沢東主席は1961年1月24日に社会党の黒田寿男衆院議員らと会見した際、こう語っている。
「日本人民の関係と日本政府の関係は区別があり、分けなければならぬ。日本政府内の関係も同じではなく、主流派と反主流派がある。彼らは完全に一致していない。松村(謙三)、三木(武夫)、高碕(達之助)、河野(一郎)、石橋(湛山)。これらの人々はわれわれの間接的な同盟軍だ。そして日本人は直接的な同盟軍だ。自由民主党内部の矛盾はわれわれの間接的な同盟軍である」
常に日本政治の中に矛盾を見つけ、主流派が「反中」の際には、反主流派を抱き込むのが中国共産党の対日工作の基本だが、今は野田政権を「敵」と位置付け、自民党を「間接的な同盟軍」とみなしているのだ。後述するが、共産党・政府が、タカ派とみなす安倍晋三・自民党総裁に期待するのはそういう背景がある。
だからこそ賈は河野ら友好団体会長にこう強調した。「影響力を発揮してほしい。そして今の状態を早く終わらせてほしい」
*後篇(10月6日公開予定)へ続く
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