子ども・家庭・学校 貧困連鎖社会

2012年10月12日

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父母の離婚から意欲の喪失へ
高校中退に母親は「そうなの」

雄一(仮名)17歳の場合

 雄一の同居の家族は40歳代の母親と兄、そして妹の4人だ。中学生の妹は知的障害がある。他に、別居している姉が二人いるが、いずれもシングルマザーだ。雄一と下の姉は高校を中退している。

 母親と父親は雄一が小学校の頃、離婚した。その後父親がどうしているかは知らない。

 小学校の頃は通学していた。中学は部活もしたが、勉強はだめだった。とくに数学と英語はだめで、授業はつらかった。登校した日の方が少ない。担任から何か言われたことはない。

 入学した高校は、やはり普通科の最底辺校だった。そこにしか入学できなかった。1年間は通学した。電車賃を払う余裕がなくて、1時間かけて自転車で通学した。入学して間もない頃は週に2、3日は通っていた。しかし、どんな天候の日にも自転車通学をするしかない。つらくなってだんだん不登校気味になっていった。1年生の3学期で退学したが、母親は関心なさそうに、「そうなの」と言っただけだった。中退した高校は、雄一によると「あほがいっぱいいるし、ヤンキーも多い」学校だったが、今となっては学校に戻りたいし、まだ未練がある。学校には友だちがいる。

 中退した後は倉庫仕事や建設現場に入ったり辞めたりの繰り返しだ。タイル職人の手伝いもした。その後は、倉庫で商品を分ける仕事もした。昼頃から夜の9時過ぎまでで3カ月くらい続けた。それからはとび職になった。これは重労働で危ない仕事だった。しかし、仕事はきついけど給料は安かった。今は、倉庫のエアコンの荷下ろしだ。7カ月続いている。派遣会社からの派遣で給料は月に8、9万で携帯代と遊びにすべて使っている。将来の夢を描くことが出来ず、その日をただ暮らしているようだ。誰からも期待されず、自分さえも「自分にもできる」という気持ちを持てないでいる。

 長年の貧しさが若者たちの将来に対する意欲を失わせている典型的なケースだ。

父母は離婚し養育放棄
昼は中華料理店、夜はスナック
中退にこだわりなし

麗(仮名) 20歳の場合

 麗は今、19歳になった。中学の頃に父母が離婚し、定時制高校に入学してからは一人暮らしをしている。父親と母親は離婚後、それぞれの愛人と一緒に暮らしはじめ、子どもの養育をしなくなった。ようするに子どもを捨てたのである。麗は、それでも定時制高校に入学して、朝の10時から夕方6時までは中華料理屋で働き、夜9時から0時過ぎまでスナックで働くというダブルワークだ。収入は20万円強。彼女自身は、「私は働くのが好き」と言う。

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