子ども・家庭・学校 貧困連鎖社会

2012年10月12日

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 定時制高校は1年の3学期に中退している。麗もまた、学校を中退することにこだわりがなかった。学校の意味や学ぶことの大切さを麗はだれからも教わっていない。教育を受けることによって、将来、豊かになることができるとか、夢を実現するということを家庭でも学校でも学んでいないのである。

 兄も居るが、同じように親から離れて一人で暮らしている。麗の家族は完全にバラバラだ。

ひとり親家庭の貧困
「給食代もったいないからやめるなら早くやめて」と母

遥香(仮名 18歳)の場合

 遥香の父親は遥香が2歳の頃いなくなった。以来、会っていないし、父親のことはほとんど知らない。母親とは入籍もしていなかった。母親は長く、スナックで働いている。

 子どもの頃は祖母や母親と暮らしていた。今は母と二人暮らしだ。母親は36歳、本人は18歳になった。母親が高校に入ったことがあるのかどうかも知らない。

 小学校の頃から学校にはあまり行かなかった。算数はまったくできなかった。今でも二桁の掛け算はできない。中学には毎日、昼から登校していた。部活だけやりに行くようだった。

 母親は夜の9時から2時まで仕事をしていたから、その間は夜遊びをしていた。夜中、遊んでいたから、翌日は学校には行けなかった。行っても授業中は寝ていた。

 中学の担任からは、入学できる高校がないと言われて、専門学校に行こうとしたが、100万円以上かかるから無理で、定時制高校に来た。

 その定時制高校も1年生の2月にやめた。仕事と両立が難しかった。母親には給食代がもったいないからやめるなら早くやめてと言われていた。

 中退した後は、食品の宅配のアルバイトを朝から昼までやったあと、中華料理屋で夜中の2時まで働いている。アルバイト料は時給800円ほどだから多い時で15万ほどになる。

生活保護世帯は意外にも1家族だけ

 4人の若者の人生史をまとめてみた。4人とも貧困世帯の子どもたちではあったが、生活保護受給世帯は雄一の家庭だけだった。美優の家族はテーブルや冷蔵庫、洗濯機など生活用具すら整わない中で暮らしていたが、実は生活保護は受けていない。

 麗たち兄妹は親から16歳で捨てられていたが、二人は、生保を受けることなく、自分たちで稼いで生活している。麗は朝から夜中まで働いて、20万少々の収入を得ているから生活保護を受ける資格はない。しかし、麗の生活を見ていて、「16歳の子どもにこんな生き方をさせてこれでいいんだろうか」、と強い疑問がわいた。

 麗と会ったのは朝の10時ごろだったが、話していても本当に眠そうで辛そうだった。

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