田部康喜のTV読本

2021年5月2日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

社長として悩むとわ子の前には

 とわ子はいま、社長として経営に取り組みながら、さまざまな社内の要求から孤立しかねない状況に陥っていた。建築士の若手が大学図書館の素晴らしい設計図を完成させた。しかし、コスト面では経営を圧迫するのはみえていた。とわ子なりに、若手の設計図を書き換えた。設計の責任者は「さすがです」とほめたが、最初の設計を手掛けた若手は、辞表を出した。

 「あっそうか、って感じ。人に期待していないんで」と、とわ子に言い放った若手は、以前から請われていた、シンガポールに仕事の場を移すことになった。

 二番目の夫である、ファッションカメラマンの佐藤はたまたまレストランで、とわ子の会社を辞めた若手建築士が仲間と話しているのを聞いた。その若手はこんな風に語っていた。

 「あの社長(とわ子)は好きだけど。(とわ子は)嫌われても平気だから、嫌われ役を引き受けたんだと思う。自分も建築家なのに、嫌われ役をやっているんでしょ。また、仕事をしたいと思っている」と。

 佐藤は、抱えきれないような花束を持って、夜のとわ子のオフィスを訪ねた。とわ子はまだいた。

佐藤  社長業はきつい?

とわ子 きつくはないけど。

佐藤  器を小さくすればいいんだよ。やってられないって、ときどきあるよ。

    がまんすることはないよ。ぐちや泣き言をこぼしていこうよ。

    やってられないでしょ。

 そして、佐藤は「ご一緒にいかがですか?」と手を差し出す。

 ふたりがオフィスで踊るシーンは美しい。映像は、過去の社交ダンスの衣装に切り替わって。

 舞台は、一番目の夫の田中八作(松田龍平)のレストランに移る。ときどき、ひとりでふらっとやってくる、三ツ屋早良(みつや・さら、石橋静河)は実は、田中(松田)の親友の恋人だった女性である。親友は最近、早良から連絡がないことに不安を抱いている。「誰かほかに好きな男ができたんじゃないか」と。

 三番目の弁護士の中村慎森(岡田将生)にも、パワハラで失業して、住む家がなくなった小谷翼(石橋菜津美)が相談に訪れるが、どうも嘘をついている。

 元三人の夫たちの恋模様も見逃せない。

  
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