2022年6月30日(木)

Washington Files

2021年5月24日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

政治家たちの偏見

 しかし、こうした一般市民の意識以上に、社会に及ぼす影響という点で深刻なのが、政治家たちの偏見だろう。

 とくに、トランプ大統領は在任中、「温暖化には科学的根拠がない」との非科学的主張を一貫して繰り返してきたことで知られているほか、それにひけをとらないのが、連邦議員たちのかたくなな態度だ。

 在ワシントン有力シンクタンク「The Center for American Progress」は去る3月30日、これまで連邦議員たちが環境問題について本会議、委員会などを通じ発言してきた内容分析結果を公表した。

 それによると、上下両院議員合わせ535人中、139人が「人間活動とは無関係」だとして「地球温暖化」に疑念を表明、または問題そのものを否定していることが明らかになった。内訳は下院議員109人、上院議員30人となっている。

 これを党派別に見ると、下院109人の52%、上院30人の60%が共和党議員だった。

 また、両党合わせこれら議員たちのほぼ全員が、これまで石炭、石油、天然ガス業界から政治献金を受けてきており、受け取った総額は6100万ドル以上に達していることも明らかにされている。

 科学以外の分野でも、政治家たちが、法支配そして社会的通念を踏みにじり深刻な問題となったのが、トランプ陣営による2020年大統領選の結果否認であり、今年1月6日の、トランプ支持暴徒たちによる連邦議事堂襲撃事件だった。

 各州における選挙開票結果は、超党派の選挙管理委員会により最終的に認定されたのみならず、司法省が刑事捜査含め徹底調査の結果「選挙不正はなかった」と結論づけ、共和党系判事が多数を占める連邦最高裁も「バイデン大統領当選」の正当性をダメ押しする裁定を下している。

 それにもかかわらず、大統領選から半年以上たった今もなお、上下両院共和党議員の実に70%近くが「選挙の不当性」を主張し続けている。

 教会で「進化論」を認めず、「地球温暖化」をフィクションだと主張する白人キリスト教徒たちと、まったく理不尽な「選挙不正」説を撤回しようとしない共和党議員たち―。両者の間に共通する部分は決して少なくない。

 ついでに、迷信“感染者”が多いのも、アメリカの特異性のひとつだろう。昨年1月のIpsos世論調査で、UFOが実在すると回答した人が、全体の45%にも達していることが明らかにされた。国民の半数近くがUFO信者ということになる。毎年、UFO「目撃者報告」も年間5800件に上っているという(「全米UFO報告センターNational UFO Reporting Center・2019年データ」)                

 科学最先端国は、同時に“迷信先進国”でもあるようだ。

  
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