売上6億の会社で30億を買収
そのためビジネスリーダーとしての心構えとしては、「積極的にコンフォートゾーンを脱して、新しい相手のところに飛び込んでいく」ということが重要となる。
私の経営する会社は、設立から数年で売上が6億円しかないとき、30億円の会社を買収して、飛躍的成長を遂げることができたが、これも全く同様のことだ。誰も知らない、アウェーの会合に飛び込んでいって、普段は接することのないお爺ちゃん経営者たちと話すことで、実現できた話なのである。
上記を一つの例としつつ、さらに、兵法に精通している二人の師から授かった、大変感銘を受けたエピソードを紹介しよう。
まずは、王・将・兵の話だ。組織は王・将・兵の三階層に分類できる。王は、直接に兵と話してはいけない。現場に王が降りたら将は嫌がる。兵を舵取りするのは将の役割であり、王が介在すると将がやりにくくなるからだ。その代わり、王は将と徹底的に話した上で、兵の扱いをドンと任せる。だから、王は将を使える人物である必要はあるが、兵を使える人物である必要はない。しかし、王と兵は心で繋がっている必要がある。なので、ビジョンを語って人の心を打つのが重要なのだ。
上記は、人の使い方、組織の作り方、自分自身のあり方について悩んでいた時、師から授かって大変私に刺さった教えである。誰がどの位置かをキチンと把握して、立ち振る舞っていけば良いということだ。
キングダムでいうと、まさに同じ31〜33巻の、筆者が最も好きなシーンである「合従軍編」のクライマックスである。
複数国家の連合軍から同時に攻められ、絶対絶命のピンチに陥った秦は、国を守る最後の拠点「蕞」を防衛すべく、なんと大王・政が自ら現地に出陣する。ここで、民たちに自ら語りかけることで、ズタボロの中でも士気を維持し、奇跡の防衛を果たすことができるのだ。
キングダム屈指の名シーンの一つである。王が、初めて現場に降りたって、直接語りかけた。この時の効果は絶大である。まさにここは、普段から政がビジョンを示し、民からの信頼を集め、尊敬されていたことにより起こったことだ。王・将・兵の役割をそれぞれ理解し、キチンと王の務めを果たしていたからこそ、最後の最後に自ら動く時に、民の心を打つわけだ。
リーダーの誰しもが参考にすべきエピソードであろう。