2022年12月10日(土)

ザ・移動革命

2021年7月30日

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伊藤慎介 (いとう・しんすけ)

株式会社rimOnO 代表取締役社長

1999年に旧通商産業省(経済産業省)に入省し、自動車、IT、エレクトロニクス、航空機などの分野で複数の国家プロジェクトに携わる。2014年に退官し、同年9月に超小型電気自動車のベンチャー企業、株式会社rimOnO(リモノ)を設立。2016年5月に布製ボディの超小型電気自動車”rimOnO Prototype 01”を発表。現在は、CASEやMaaSなどモビリティ分野のイノベーション活動に従事。KPMGモビリティ研究所アドバイザー、東京電力ホールディングス株式会EV戦略特任顧問などを兼務。

長所だけではない、短所もある「Parklet」

 「Parklet」導入について恒久化が決まったことについてサンフランシスコの地元テレビ局Kron4が報道している。その中で、「Parklet」にクルマが突入した交通事故についても触れられている。

 6月18日、閉店後のレストランの「Parklet」にクルマが突っ込み、ブレーキを踏まないまま壁にぶつかり「Parklet」の端にぶつかって停車するという事故が発生した。店主は、開店中であればけが人が出てもおかしくなかったと述べており、「Parklet」は安全とは思えないので自分がほかの店で飲食するときは「Parklet」には座らないようにしているという。

↑「Parklet」の長短を報道する地元テレビKron4 

 「Parklet」には安全性だけではなく、街中での駐車スペースが減ってしまうという短所もある。その点を指摘したのが次の住民の声だ。

 この瞬間は「Parklet」って非常に良いと思うけど、駐車スペースを探せない時には邪魔だなって思っちゃう。走行しているクルマと想像以上に近いことにもちょっとびっくりするね。

 このように長短両方が存在する「Parklet」であるが、サンフランシスコ市としては以下の理由から「Parklet」を含むShared Spaceの利用を認める措置を恒久化したと述べている。

  • 新型コロナウィルス対策の一環として、店舗やレストランに対して屋外の公共スペースの利用を一時的に認め利用料を免除する措置をとった
  • これにより店舗やレストランの経済的負担を減らせるだけでなく、従業員が職場復帰できることで労働者の生活の維持につながることが明らかとなった
  • Shared Spaceを維持することは交通事故ゼロ、公共交通優先、賑わいのある街づくりにもつながる
↑Parkletを含むShared Spaceの措置を恒久化したサンフランシスコ市(リンク:https://sf.gov/information/making-shared-spaces-program-permanent)

 昨年12月に執筆した『EVシフトだけでは立ち遅れかねない日本のカーボンニュートラル対策』でも述べたが、欧米の主要都市では都市部の車道や歩道スペースを共有スペースや広場として利用する取り組みがこの10年間でかなり広がりを見せている。

 その背景としては以下の5つがあると分析している。

  1. 慢性化する交通渋滞と増加する交通事故への削減
  2. 都心部の活性化とそれによる住宅地の郊外シフト防止
  3. CO2削減を含む環境にやさしい街づくりの推進
  4. クルマから徒歩・自転車・マイクロモビリティという移動手段のシフト
  5. 環境に配慮したライフスタイルを求める若者やイノベーターの取り込み

 20世紀の都市計画では、都市から郊外に高速道路や幅の広い一般道を整備することで、昼間は都市部で働き、夜と週末は郊外の住宅地で過ごすというライフスタイルを支える仕組みが整備されていった。しかし、郊外へのシフトが進めば進むほど交通渋滞や交通事故は悪化し、排ガスによる環境問題も深刻化した。加えて、都市部の一部がスラム化するといった問題も発生した。上記に挙げた1)と2)のことだ。

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