2024年4月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年10月19日

 パキスタンは中国の属国と化しているが、以上の結果として、これにアフガニスタンが加わる傾向が強まるであろう。バイデン政権がパキスタンを友邦として遇することもないであろう。撤退後のアフガニスタンのテロ情勢の監視体制の構築を目的とする協力の要請をパキスタンは拒絶したようであり、そうであればパキスタンはもはや用済みということになろう。

すでに前年を上回るテロ件数

 最大のリスクは、タリバンの勝利に刺激されて、パキスタンでパキスタン・タリバン運動(TTP)その他イスラム過激派が勢力を伸張させる可能性である。今年に入ってテロの件数(67件、死者329人)は既に2020年を上回っているという。

 タリバンは彼等にアフガニスタンで聖域を提供するかも知れない。彼等はパキスタンの軍統合情報局(ISI)の良き同志となり仇敵インドへの攻撃で協力するかも知れないが、逆に、育てた毒蛇に噛みつかれる別のシナリオもあり得よう。

 イスラム首長国は実現困難としても、彼等がタリバンを真似て体制に挑戦し混乱を招来する(彼等が核兵器に接近出来るような事態が生ずることが悪夢である)ことはあり得るであろう。そのような事態はインドの警戒感を一気に高めることはもとより、地域全体を不安定化するであろう。

   
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