2023年1月30日(月)

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2012年12月21日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

関東学院大学経済学部教授

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。15年4月から中部圏社会経済研究所研究部長を経て、22年4月より現職。

図4 選挙を棄権した理由
(第45回衆議院議員総選挙)
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 要するに、投票のコストが特定の有権者層に偏った形で生じていれば、そこで生まれる棄権は、そうでない有権者の選好を偏った形で投票結果に反映させることになり悪い棄権となる。

 このように、棄権が問題にされるとすれば、もう一つ以下のケースを含む「悪い棄権」についてであろう。つまり、現状に不満がありながらも、棄権してしまう者がいる場合である。こうした棄権者は、これまでの経験から自らが投票という形でvoiceを発しても政治の側がそれを受け止めずなんら現状が改善しないため、次第にvoiceを発する事自体に幻滅し、投票という場からexitしてしまうと解釈することができよう。こうした棄権が多ければ多いほど政治不信が大きいということになり、日本全体にとって不幸な状況であると言えよう。この場合ももちろん「悪い棄権」である。

図5 選挙を棄権した理由
(第22回参議院議員通常選挙)
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 実際に、第45回総選挙時と第22回通常選挙時の棄権者に対するアンケート結果によれば、棄権した理由などは図4、図5の通りとなっている。財団法人明るい選挙推進財団の資料では、「面倒だから」「選挙にあまり関心がなかった」を政治的無関心、「適当な候補者も政党もなかったから」、「私一人が投票しなくても同じ」、「選挙によって政治はよくならないと思った」を政治的無力感とカテゴライズしている。こうした政治的無関心、政治的無力感を理由とした棄権が多くなればなるほど、良い棄権は少なくなり、悪い棄権として問題視しなくてはならないだろう。これは偏に投票する側ではなく投票される側、要すれば政治の問題でもある。

投票行動に影響を与える要因

 以下ではまた投票率に視点を戻して、投票行動に影響を与える要因を検討しつつ今回の低投票率の原因を考えてみることとしよう。

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