「命のバトンを受け取りました」
ライフセービング講座を受けた少年たちの言葉の中に「ライフセーバーの方々から命のバトンを受け取りました。この受け取った命のバトンを次の人に繋いでいきたい。自分が伝えることによって、誰かの命を救う可能性が増える」というものや、「この手で多くの人を悲しませたり、苦しませてきました。しかし、これからはこの手で幸せを作っていきたいと思います」というものがあった。
様々な思いを綴った中から、ここでは、ほんの一部分だけを引用したが、少年たちの中には、ライフセーバーの精神に共感する思いが芽生えているはずだ。
少年たちに必要なことは年齢に応じた社会との正しい繋がりであり、モデルとなる健全な社会人との関わりである。また、少年院というどうしても閉ざされた空間になりがちな矯正施設には、外部の人たちの理解の目が必要だろう。退院しても、働く場や学ぶ場がなければ、再び社会の暗闇へと戻らざるを得なくなってしまう。再犯という不幸を抑えるには健全な居場所が必要なのである。
そのためにも茨城県で行われている、水戸生涯学習センターと水府学院のような取り組みが、他の地域にも広がるべきではないだろうか。それが矯正施設と地域社会を繋げ、ひいては少年たちの社会復帰を促す基になると考えられる。
茨城県の取り組みについては、昨年書いた「ルポ・少年院のこどもたち~茨城県・水府学院 密着レポートの前篇 後篇」をぜひ再読していただきたい。
(記事内写真:編集部撮影)
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