2024年4月25日(木)

2021年回顧と2022年展望

2021年12月29日

 5年にわたる長期政権を築いた故中曽根康弘首相は、金脈スキャンダルで失脚した田中角栄元首相の後押しで総理・総裁に就任した。当初は人事でもその影響力を無視できず、〝田中曽根内閣〟などと揶揄されたが、田中氏が病に倒れ影響力を失うに至って、初めて〝自前〟の政権を作り上げることが可能になった。

 岸田氏も、政策遂行に加え政権基盤の強化、党内掌握に多くのエネルギーを費やさなければならないかもしれない。

気になるスキャンダルの影

 もうひとつ、船出から間もない岸田政権で気になるのは、スキャンダルの影だ。

 林芳正外相が参院から衆院に鞍替えするにあたって、山口県副知事が県職員に後援会入会を勧誘、公選法違反の罪で略式起訴され、辞職した。略式起訴ではなく正式起訴されてもおかしくない悪質なケースだ。林氏は陳謝、自らの関与は否定したが、二階派の長老、川村建夫元官房長官を押しのけて出馬だっただけに反発が強まる可能性がある。  

 落選した石原伸晃氏を内閣官房参与に起用したのはいいが、同氏が代表を務める自民党支部がコロナ禍での困窮事業者向けの雇用調整助成金の給付を受けていたことがわかり辞任に追い込まれた。大岡敏孝環境副大臣も同様の問題があるにもかかわらず、同氏は職にとどまっている。

 スキャンダルが続けば、同様の問題が相次ぎ、参院選で敗北して退陣に追い込まれた第一次安倍政権の二の舞にならぬとは言い切れまい。

 それやこれやを考えると、参院選を乗り切るのはそう簡単ではない。長期政権への「坦々たる大路」など、まだまだ霞のかなたというべきだろう。岸田氏とっては、「めでたさも中くらい」の正月かもしれない。

   
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