2022年7月5日(火)

教養としての中東情勢

2022年1月19日

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 同軍団は「南部暫定評議会」とは一線を引く組織。戦闘員は1万5000人規模で、南部部族出身のイスラム原理主義者が中心とされるが、詳しい実態は不明。

沈静化への国際圧力も弱い

 いずれにせよ、劣勢のフーシ派が「ジャイアンツ軍団」の攻勢を阻止しようとしてUAEへのドローン攻撃に踏み切ったというのが真相のようだ。このまま軍団の進撃が続くようだと、フーシ派がドローンだけではなく、弾道ミサイルをUAEに向けて発射する恐れもある。

 しかし、内戦の鎮静化に向けた国際的な圧力は弱い。国連は一昨年、フーシ派とサウジ主導の「連合軍」との捕虜交換にこぎ着けたが、その後の停戦調停は効果を発揮していない。サウジの軍事介入に批判的なバイデン政権はフーシ派をテロ組織リストから外したものの、内戦の終結に積極的な役割を果たそうとしていない。

 イエメンでは国民の大半が飢餓の状況にある最悪の人道危機と言われるが、このままではさらに深刻化するのは必至だ。一部には、イランともパイプがあるムハンマド皇太子がペルシャ湾の安全と石油の安定的な輸出を維持するため、米国に頼ることを断念し、イランとサウジの仲介に動くのではないかとの憶測もある。中東は現在、大きな衝突などはなく、〝凪の状態〟だが、こういう時にこそ、水面下の小さな動きも見逃せない。

  
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