2022年10月6日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年2月9日

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 2022年1月30日、北朝鮮は、今年に入って既に7回目となるミサイル発射実験を行った。これらは、明らかに国連決議違反であり、日本を含め米国、韓国など、北朝鮮の行動を非難し、その脅威に懸念を表明した。

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 特に、この7回目のミサイルは中距離以上のもので、その精度も「ロフテット軌道」を通る高いものだったと指摘されている。

 これに先立ち、ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)韓国支局長のTimothy Martinは、1月20日付のWSJで、「北朝鮮が長距離ミサイルと核兵器の実験の再開を考えている。金正恩政権は米国との長期的対決に備える必要があると、労働党の政策決定最高機関の政治局が言う」との論説を書き、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)と核兵器の実験を再開するだろうと警告した。

 この論説は、北朝鮮がICBMと核兵器実験を再開する可能性が高いと論じているが、その通りであろう。米朝交渉は長く途絶えているし、北朝鮮は兵器開発を進めてきており、実験が必要になっているとの事情もあるだろう。米国に、交渉に戻り、北朝鮮への敵対姿勢の緩和を促す意図もあろう。

 北朝鮮の核兵器については、原子爆弾は相当数を保有しているとみられる。水素爆弾の保有はよくわからない。運搬手段の関係では短距離、中距離ミサイルは持っている。長距離のICBMは軍事パレードには出しているが、使える状態になっているのかは不明である。

 日本は、ノドンミサイルの射程距離内にあるので、北朝鮮はいつでも日本に核ミサイルを撃ち込める。ミサイル防衛で、飛翔してくる北朝鮮のミサイルを撃ち落とせるかのようにミサイル防衛信奉者は言うが、変則軌道を飛行する短距離ミサイルを北朝鮮は開発しており、最近では極超音速ミサイルも開発しているので、有効なミサイル防衛はできないと判断している。

 北朝鮮が日本に核ミサイルを撃てないのは、米国の核の傘が日本に差し掛けられており、北朝鮮は日本を核ミサイル攻撃すれば、北朝鮮自身も米国の攻撃で滅亡することを知っているからである。言い換えれば、米国の抑止力が効いているからである。

 対米攻撃をしうるICBMを北朝鮮が実戦配備した場合、これが米国の抑止力に与える影響は大きい。旧ソ連がSS-20を欧州に配備したとき、時の西独のシュミット首相は米欧の安全保障がディカプリングすると大騒ぎした。結局、ドイツに核搭載パーシング、英国に核搭載クルーズミサイルを配備し、米ソ交渉で双方のINFを撤廃する協定が結ばれた。

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