2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年2月9日

 今は INFゼロ協定は失効してしまった。シュミットの議論は、米国がベルリンを守るためにニューヨークやワシントンを犠牲にするとは考えられないという前提に立っていた。この前提はそれほど荒唐無稽ではない。

日本のミサイル防衛能力では足りない

 北朝鮮がICBMを実戦配備すれば、米国の拡大抑止に大きな影響が出る。東京を守るためにニューヨークやワシントンを犠牲にする用意が米国にはあるのかということである。日本の頼みの綱である米国の拡大抑止に不確実性は出てこないのか、日米の安全保障はディカプリングしないのかが問題になる。この問題をよく考える必要がある。

 もちろん、ミサイル防衛が完璧にできればよいが、それは望み薄であると考えている。ミサイル防衛の能力の誇大宣伝は本当の問題の議論の邪魔になっている。また敵基地攻撃能力の保有なども、中国、北朝鮮を刺激することに無頓着な無神経な議論であろう。

 北朝鮮の今回の意思表示に関しては、日本への米国の核中距離ミサイル配備を決断することなどの一連の問題が出てくると思われる。

   
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