2000年代前半まで約30兆円の市場規模を誇ったパチンコ業界であるが、下部の表で示している通り、04年以降パチンコと関わりの深い法律の規制強化が打撃となり、現在では20兆円を下回る規模まで凋落している。パチンコホールの店舗数推移だけ見ても、そのことが裏付けられている。
“コンプガチャ”もライバルに
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「“飲む、打つ、買う”という言葉は、もはや死語。最近の若い世代の動向を見るとギャンブルをする割合が減ってきたのではないでしょうか」都内でパチンコホールを経営する店長はそう嘆く。確かに、公営ギャンブルを運営する日本中央競馬会(JRA)を見ても、12年、15年ぶりに売上高が前年を上回ったが、11年までは14年間連続で減少していた。12年の前年比増は前年が東日本大震災の影響を強く受けていたためであり、実質的には98年から続く減少傾向に歯止めがかかっていない。
要因として考えられるのは、可処分所得の減少はもちろんのこと、最近では、携帯電話やスマートフォンのゲームがギャンブル業界のライバルとの見方もある。ギャンブルは、射幸心を煽り、そしてそれを満たすことの繰り返しにより、人の心を取り込んでいくものだ。ケータイゲームでいうと昨今、未成年を含むユーザーに高額の利用料を支払わせることに繋がると問題視された、コンプリートガチャ(コンプガチャ)がその代表例である。
「射幸心旺盛でパチンコホールの常連になる要素を持った若者が、コンプガチャ程度のドキドキ感で満足してしまっているようだ。若者がパチンコホールに足を運んでくれなくなることは、業界として将来的な不安要素の一つ」と業界団体幹部は危機感を露わにする。
実際、パチンコホールは、「多くの企業の給料日である25日直後に加え、年金の支給日である偶数月の15日直後が最も繁盛する」(前出のパチンコホール店長)。このことからも、若い世代のパチンコ離れが顕著になっていることがわかる。先行きは極めて不透明である。