2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年4月13日

 ウクライナを脱出した難民のうち最多の240万人以上が既にポーランドに入ったが、スラボミール・シェラコウスキー(ワルシャワの高等研究所所長)が、ポーランドで生起しかねない難民危機を、3月21日付のProject Syndicateで論じている。

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 ロシアのウクライナ侵攻は最大規模の人道危機を作り出した。少なくとも過去30年における欧州で、最速の難民流入が起きている。

 1週間のうちに2015年の難民危機の際の1週間の最大流入数の10倍、1999年のコソボ紛争の際の最初の11日間の流入数の2倍に達したという。既に全体で370万人以上が難民として近隣諸国に流入しているが、このまま推移すれば、第二次世界大戦直後の欧州の状況の再現となりかねないらしい。

 370万人以上のウクライナ難民のうちの3分の2近くが、隣国ポーランドに到着した。その前に、ポーランドには既に150万人のウクライナ人が滞在していた。ポーランドは一夜にして欧州で最も均質な社会から世界的に見て格段に大きな難民人口を受け入れる社会に変貌した。

 シェラコウスキーによれば、トルコ、コロンビア、米国に次ぐ世界第4位の難民受け入れ国になった。ポーランドに入ったウクライナ難民たちの多くは、家族的な繋がり、言語の近似性、ウクライナとの距離の近さ故に更に西に逃れることなくポーランドにとどまるであろうから、ポーランド社会にとっての負担は甚大である。

 難民となったウクライナ人を諸外国の社会がどのように遇し支援して行けるかは重大な問題である。近隣諸国の負担は特段に大きく、西側諸国が一致してこれら諸国の負担を分かち合うべく協力することが求められる。多くの難民を受け入れているポーランド、ルーマニア、ハンガリー、スロバキアが加盟している欧州連合(EU)は、既に支援に動き出している。


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