2022年12月1日(木)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2022年4月23日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社社員

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会) 『日本の漁業が崩壊する本当の理由』『魚はどこに消えた?』(ともにウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著、『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 一方で、表示をしてトレースすればメリットがあります。それは、品質事故等があった場合に、非が無いことを証明したり、ロットを分けて被害を最小限にしたりといったことができるからです。しかし、日本の場合はあえて隠すわけです。そもそもの発想が違うので、これではトレースが進むはずがありません。

やらなくてはならないトレーサビリティ

 日本で不正な水産物を流通させないようにすることは可能です。そのためには、国産品をバーコードなどでトレーサビリティを徹底させること。輸入品においては「漁獲証明」を要求することの2点が必要になります。すでに写真で示しましたが、ノルウェーなどの北欧からは、輸出側が進んでトレースしています。

 国産水産物は、漁業法改正(20年〜)により、今後、漁獲可能量(TAC)、個別割当(IQ)魚種が増えることで、資源管理が強化されて行く見通しです。その際の逃げ道を断つことが不可欠です。国内での密漁を含むIUU漁業は、資源に悪影響を与えています。トレーサビリティによりそれらを完全にブロックするのです。

 EUなどでは、IUU漁業の輸入排除を徹底しています。そのおこぼれが、管理が甘い日本に輸出されるのを遮断することは、SDGsを採択している国として当然のことです。

 

 ちなみに、IUU漁業による水産物の流通は日本に限ったことではありません。しかしSDGs14のターゲットではそれを終らせようとしています。筆者が世界のあちらこちらで見て来た日本の姿勢との大きな違い、それはトレーサビリティによって悪循環を止めていることです。

 不正な水産物を排除し水産資源を守るために、日本の対応が急がれます。

 
 『Wedge』2022年3月号で「魚も漁師も消えゆく日本 復活の方法はこれしかない」を特集しております。
 四方を海に囲まれ、好漁場にも恵まれた日本。かつては、世界に冠たる水産大国だった。しかし日本の食卓を彩った魚は不漁が相次いでいる。魚の資源量が減少し続けているからだ。2020年12月、70年ぶりに漁業法が改正され、日本の漁業は「持続可能」を目指すべく舵を切ったかに見える。だが、日本の海が抱える問題は多い。突破口はあるのか。
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