情報戦でも苦戦するロシア
人間の感情までは統制困難
桒原 今回のロシアによるウクライナ侵攻はまさに「SNS時代の戦争」といえる。従来の戦争では政府の広報やプロパガンダ、メディアなどを通じて、国内外の世論に対して〝一方通行〟で情報発信することが常だった。しかし、今回はSNSを利用し誰もが主役になり自ら情報を発信でき、受け手もリアクションができる。その意味で、〝双方向性〟が担保された「SNS時代の戦争」の形である。
14年のロシアによるクリミア併合のとき、ロシアは「クリミアの土地は歴史的にもロシアの領土である」「ウクライナにはネオナチが蔓延している」などと自らの行動の正当性を主張していた。今回もプーチン大統領は、「ゼレンスキー政権はネオナチで、ウクライナを非ナチ化しなければならない」「ロシアとウクライナは同じ民族だ」などとアピールし、ウクライナ侵攻の正当性を主張しようとしたが、この戦略は早々に頓挫してしまった。
世界中に、ウクライナが激しい戦場になっており、日々悪化する現状を映し出した様子がテレビやSNSで拡散され、ロシアが発信しているメッセージが実態とまるでかけ離れていることが明らかになっていった。ロシアの正当性を裏付ける情報に聴衆は触れることができなかったため、結果的に、今日では世界中に反ロシア、ウクライナ支持というナラティブが席巻し、国際社会もその方向に傾いている。
ロシアのプロパガンダには二つの特徴がある。一つは、……
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