2022年10月2日(日)

Wedge SPECIAL REPORT

2022年4月30日

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細谷雄一 (ほそや・ゆういち)

慶應義塾大学法学部 教授

英国バーミンガム大学大学院国際関係学修士号取得。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程修了。著者に『自主独立とは何か』(新潮選書)、『迷走するイギリス』(慶應義塾大学出版会)など。

 「Wedge」2022年5月号に掲載され、好評を博している特集「プーチンによる戦争に世界は決して屈しない」記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。

 ウクライナで進行している戦争は、日を追うごとによりいっそう凄惨なものとなっており、依然として平和への道のりは遠いように思える。

 戦争は「武器」の戦いであると同時に、「言葉」の戦いでもある。軍事力の規模では大きくロシアに劣るウクライナは、ゼレンスキー大統領が優れた演説を繰り返すことによって、人々の心と感情を揺さぶる、いわゆる「ハーツ・アンド・マインズ」においては有利な戦いを行っている。

 3月8日の英国議会での演説で、ゼレンスキー大統領は次のように英国民に語りかけた。

 「われわれは決して降伏しない。決して負けない。どんな犠牲を払っても国を守るために海で、空で、森で、街頭で、戦い続ける」

 これは1940年、ナチスとの戦争で、決して妥協せずに戦争を続ける強い意志を示したチャーチル首相の演説を意識したものであることは、明瞭であった。そしてそれは、明確な一つのメッセージを意味している。すなわちロシアに対する宥和政策は拒絶するという姿勢であり、独立や自由を獲得するまでは戦いをやめないという意志である。そして、英国民にとっての歴史の中でも「最も偉大な指導者」と評価されるチャーチルの言葉を参照することで、英国からの、そして国際社会からのより力強い支援を得ることを目指したのであろう。

「勝利(Victory)」を意味するVサインは、チャーチルのトレードマークとなった (AFP/JIJI)

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