2024年12月14日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年4月27日

 4月3日に行われたハンガリーの議会選挙では、現職のオルバン首相の党であるフィデスが圧勝し、結束してオルバンを打倒しようとした野党の企ては不発に終わった。フィデスの得票率は53%であったが、獲得議席数は135(総議席数は199)で3分の2を制した。

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 オルバンは勝利演説で「われわれの勝利は巨大であり、月からも見えるし、ブリュッセルからももちろん見える」と述べた。敵はかつてなく多かったと述べ、ブリュッセルの官僚、ジョージ・ソロスの帝国、主流の国際メディア、そしてウクライナの大統領に言及した。ゼレンスキーは欧州でプーチンを支持しているのは唯一ハンガリー首相だと厳しく批判したことがある。

 あたかもハンガリーの選挙が終わるのを待っていたかの如く、4月5日、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、欧州連合(EU)資金に関する「法の支配」のコンディショナリティの仕組み(新型コロナウイルスによるパンデミックからの復興基金の設立に合わせて2020年12月に導入が合意されたもの)をハンガリーに対して近く発動することを表明した。

 コンディショナリティの仕組みは「加盟国における法の支配の原則の違反がEU予算の健全な財政管理あるいはEUの財政上の利益の保護に十分直接的に影響を与えあるいは与える深刻なリスクがある」場合にEUが適切な措置を取ることを規定している。

 欧州委員会が以上の要件が満たされる事態を認定した場合には理事会に適切と認める措置を提案し、理事会は特定多数決(加盟国数の55%、人口比で65%以上の賛成)で提案を採択出来る。適切な措置の対象は復興基金を含むEUの全ての資金であり、措置としては資金援助の支払い停止や削減などが列挙されている。


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