Wedge SPECIAL REPORT

2022年4月25日

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山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

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ドイツとロシアを結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム2」で使用された配管。完成はしたが、運用の見通しは立っていない (CARSTENKOALL/GETTYIMAGES)

 2月24日のロシアのウクライナ侵攻から3月24日までのわずか1カ月間に、欧州連合(EU)諸国が石油、天然ガス、石炭代金としてロシアに支払った資金は185億ユーロ(約2兆4500億円、独立系研究所CREA調べ)を超えた。ウクライナ支援とは桁が違う額、毎週約6000億円がロシアに〝戦費〟として支払われている計算になる。EU内では、ウクライナの人命を救うためエネルギー不足とエネルギー価格上昇を甘んじて受け入れ、直ちにロシアからの化石燃料購入を打ち切るべきとの声がある。

 だが、ロシア産エネルギーへの依存度が高いドイツがこの声をかき消し、EUは国際銀行間通信協会(SWIFT)から化石燃料輸入に関わるロシアの銀行を排除しなかった。ドイツは今年末に予定されている「脱原発」を予定通り行い、化石燃料依存を増す計画だ。EU内ではドイツはウクライナの人命と脱原発を引き換えにするとの批判もある。それでもドイツは脱原発にしがみつく。

 EUは、約45%をロシアから輸入し、大半がパイプライン経由のため、結びつきの強い天然ガスが注目されることが多いが、石油輸入量の約27%、石炭輸入量の約46%をロシアが供給している。2021年に、EU27カ国がロシアからの化石燃料輸入に支払った額は、991億ユーロ(約13兆円、EU統計局)だった。天然ガス需要量が増える中で昨年後半から、ロシアが供給量を絞ったため、天然ガス価格は大きく上昇した(図-1)。

日米欧天然ガス価格と原油価格推移(図-1)

(出典)世界銀行(注)原油価格はWTI 写真を拡大

 EU加盟国のロシア依存度が国により異なる中で、脱原発を進めるドイツは、一次エネルギーの約3割をロシアに依存している。昨年、ドイツは石油、天然ガス、石炭の輸入代金として244億ユーロ(約3兆3000億円、EU統計局)をロシアに支払った。

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