2022年12月5日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年5月17日

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 米国とサウジアラビアおよびUAEとの関係は現在ぎくしゃくしている。これは極めて望ましくない。米国のブリンケン国務長官が未だ両国を訪問していない(あるいは相手国が訪問を歓迎しようとしない)のは正常ではない。ブリンケンは3月末に中東を訪問したが、湾岸諸国は抜け落ちていた。

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 ロシアに対抗する西側の結束は、原油価格の高騰により直ちに砕けるほど脆弱であるとは思われない。しかし、欧州連合(EU)がロシア原油の禁輸に動き出した事情もあるので、サウジアラビアに増産させる努力は重要である。

 バイデンは、トランプがサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(MBS)を甘やかし過ぎたと感じていたに違いない。バイデンは大統領選挙戦で、反体制派のカショギ記者殺害事件に関して、サウジアラビアを「パーリア(のけ者)」と呼んだことがある。

 バイデン政権発足の初期(2021年3月)には、「カショギ・バン(Khashoggi Ban)」と称する新政策を発動し、海外の反体制派抑圧に従事したとして76人のサウジ人に入国制限の制裁を課した。酷い人権侵害が起きているイエメンの戦争を止めさせるべくサウジアラビアの空爆に対する米国の軍事援助を停止した。加えて、バイデンは国王と最初の電話会談を行い、自身のカウンターパートは国王であることを明確にした。

 こうしたバイデンの言動がMBSの不興を買い、関係がこじれる端緒となったようである。一部報道によれば(真偽のほどは不明)、バイデンは原油の増産をMBSに電話で要請することとしたが、MBSはバイデンのカウンターパートは国王のはずだとして電話を断ったとされている――バイデンの電話を受けた国王は振り付け通りに増産を断った。

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