2022年10月5日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年4月15日

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 イラン核合意の復活を巡る交渉につき、3月23日、イランのアブドラヒアン外相は「今日、我々はかつてない程合意に近付いている」と述べたが、交渉は最終局面にあるとされ、政治的決断が求められる段階に至っていると報じられ始めてから5、6週間を経過するというのに未だ合意に至らない。テヘラン筋によれば、20ページの文書(制裁、核に関するコミットメント、復活した核合意の実施の手順と検証に関する付属文書を含む)が用意されているらしいが、合意に至る前に処理を要する障害がある。

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 第一に、対ロシア制裁がロシアのイランとの貿易、投資、軍事協力を阻害しないことの保証をロシアが米国に要求したという一件があった。しかし、イランは制裁解除を得るために核合意の復活を実現することに決しており、ロシアの妨害を嫌った様子である。イランの不興を買うことは面白くないと判断したのかロシアはこの要求を取り下げた。

 第二は、かねてのイランの要求であるが、米国が再び核合意を離脱しないことの保証である。この件について、2月21日、イラン外務省の報道官は、米国が離脱しないとの政治的保証を提供し得ないのであれば、イランは「本来的な保証」を受け入れるであろうと述べ、その意味は、米国が再び離脱し制裁を課すことがあれば、イランは迅速に核合意違反を始めるということだと示唆した。

 「本来的な保証」という概念を問題視する向きもあるが、米国が再び離脱した場合にもイランが前回のように相当の期間核合意を順守し続けるとは誰しも予想しないであろう。そうであれば、そしてイランが国内対策として何らかの文章を必要とするのであれば、工夫出来ないことはないであろう。

 第三は、革命防衛隊に対する外国テロ組織の指定の解除を求めるイランの要求である。イランは、この指定が、仮に核合意が復活し米国の制裁が解除されても外国企業のイランへの投資を阻害することになるとしているのであろう。

 というのは、革命防衛隊はイラン経済のそこここの枢要な部分に支配的な地位を有しているためである。逆に、イスラエルは指定が革命防衛隊の暴虐な性格を世間に認知させ、資金流入を阻止する効用を持つことを重視しているであろう。米国は結論に至っていないが、核合意復活の交渉の枠外で双方が了解を遂げること、あるいはイランから何等かの見返りの約束を取り付けることなど、打開の道を探っているようである。

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